以下、論文紹介と解説です。

Karppinen A, Kautiainen H, Petman L, Burri P, Reunala T. Comparison of cetirizine, ebastine and loratadine in the treatment of immediate mosquito‐bite allergy. Allergy 2002; 57:534-7.

蚊の虫刺に敏感な成人29人に対し、虫刺症時のセチリジン10mg、エバスチン10mg、ロラタジン10mgの有効性を比較した。

背景

■ 蚊に刺されると、人は頻繁に膨疹や遅発性の丘疹を経験する。

■ 膨疹は抗唾液免疫グロブリン(Ig)E抗体とヒスタミンによって媒介される。

■ セチリジン、エバスチン、ロラタジンは、先行研究で蚊の虫刺反応に効果があることが示されているが、比較研究は存在しない。

 

方法

■ 蚊の虫刺に敏感な成人29人を対象に、セチリジン10mg、エバスチン10mg、ロラタジン10mgを用いた二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験を実施した。

虫刺症病変の大きさとそう痒の強さ(visual analog scaleで評価)を15分後、2、6、24時間後に測定した。

 

結果

ロラタジンではなく、セチリジンとエバスチンは、プラセボと比較し膨疹の大きさ(P < 0.01)とそれに伴うそう痒(P < 0.001)を有意に減少させた。

■ セチリジンはそう痒に最も効果的であったが、エバスチンやロラタジンに比べて鎮静作用を起こしやすかった。

■ 遅発性の虫刺症状は統計的比較のためにはあまりにもわずかだった。

 

結論

■ 蚊の虫刺に敏感な成人を対象としたこの比較研究では、セチリジンとエバスチンがそう痒に伴う膨疹たそれに伴うそう痒を有意に軽減させ、セチリジンがそう痒に最も有効であるように思われた。

 

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抗ヒスタミン薬ごとの効果の差は、あるかもしれないが『効果がある』とおぼえておいていいかもしれない。

■ これをみると、クラリチンの効果が低そうですが、小児に関してはクラリチンの効果が検討されており、有効であるという結果になっています(Allergy 2000; 55:668-71.)

■ こういうと身も蓋もありませんが、個人的には、抗ヒスタミン薬であって非鎮静性であればどれでもいいかな…と考えています。

■ クラリチンで難しければザイザル…など、知識としてはもっておいて良さそうです。

 

 

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今日のまとめ!

 ✅ この研究では、蚊に刺されたときのかゆみに対し内服抗ヒスタミン薬は有効であり、成人に関してはジルテック≒エバステル>クラリチンだった。

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