以下、論文紹介と解説です。
Kim EH, et al. Induction of sustained unresponsiveness after egg oral immunotherapy compared to baked egg therapy in egg-allergic children. J Allergy Clin Immunol 2020.
3～16歳の焼き固めた卵を摂取可能でありながら焼き固めていないの卵への反応性が残る小児（中央値7.3歳）を、焼き固めた卵料理（ex：マフィン）の摂取か、卵による免疫療法にランダム化して有効性を比較した。
背景
■ 卵の経口免疫療法（oral immunotherapy; OIT）では脱感作とsustained unresponsiveness(SU）が誘導されることが明らかにされているが、卵アレルギーに対する焼き固めた卵 (baked egg; BE）療法の有用性はあまり研究されていない。
目的
■ 焼き固めていない卵にアレルギーがあるがBEに耐性のある参加者を対象に、卵OITと比較したBE摂取の安全性と有効性を評価した。
方法
■ 3～16歳のBE耐性でありながら焼き固めていないの卵への反応性が残る小児を対象に、BEもしくは卵に対するOITのいずれかを用いて2年間の治療を行うようランダム化した。
■ 治療の1年後と2年後に脱感作を評価するために、また、2年後に治療を8～10週間中止したうえでSUを評価するために、二重盲検プラセボ対照食物負荷試験（Double-blind, placebo-controlled food challenge; DBPCFC）が実施された。
■ 免疫調節を評価するためにメカニズム研究が実施された。
■ 比較対照群として、BEに反応した参加者群は、卵によるOIT群と同じDBPCFCを実施された。
結果
■ 参加者50人（中央値7.3歳）がランダム化され、介入が開始された。
■ SUは、BE摂取群 27人中3人（11.1％）で達成されたのに対し、卵によるOIT群 23人中10人（43.5％）で達成された（p=0.009）。
■ BEに（試験開始時に）症状があった比較対照群では、39人中7人（17.9％）がSUを達成した。
加工品の作成例。 Journal of allergy and clinical immunology 2012; 130:473-80. e1.から引用。
■ BEに（試験開始時に）症耐性にあった参加者の方がBEによる介入群 vs 卵によるOIT群からの離脱率が高かった（29.6％対13％）。
■ BEに耐性のあった参加者における投薬の必要な症状の頻度は、BE群と卵OIT群では同様だったが、BEに反応していた参加者ではより高頻度だった。
■ 卵白特異的IgE抗体価、皮膚検査・好塩基球活性化はBE群と卵OIT群ともに、介入後に同様に減少した。
結論
■ 焼き固めていない卵にアレルギーがあるもののBEには耐性がある小児において、卵OITを実施された小児はBEを摂取した小児と比較してSUを達成する可能性が有意に高かった。
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卵の加工品での免疫療法より、卵そのもので免疫療法を行ったほうが有効性が高い。ただ…
■ noteでも述べましたが、加工品での免疫療法を基本的に行っていないのは、治療効果は決して強くなく、有効性と栄養的な面に配慮すると食品そのもので行う必要性があると考えているからです。
■ しかし、経口免疫療法が、まだ研究段階である以上、さまざまな考えかたがあってしかるべきです。
■ また、経口免疫療法には「リスク」が必ずあります。そのリスクを減らす視点からは、加工品を使うという方法はあって良いとも思いますし、卵が苦手で食べられない場合もあります。その場合は『次善の策』としても良いでしょう。
今日のまとめ！
✅ 卵の加工品での免疫療法より、卵そのもので免疫療法を行ったほうが有効性が高い。
