以下、論文紹介と解説です。

Sukhneewat C, et al. Diaper dermatitis: a survey of risk factors in Thai children aged under 24 months. BMC Dermatol 2019; 19:7.

タイの生後1~24ヶ月小児1153人に対し、るおむつ皮膚炎の有病率と関連する危険因子に関するアンケートによる横断研究を実施した。

背景

■ タイの生後1~24ヶ月小児におけるおむつ皮膚炎の有病率と関連する危険因子を特定する。

 

方法

■ 本研究は、タイのKhon Kaen大学医学部小児科で実施した、参加者1153人名対象とし構造化アンケートを用いた横断研究である。

■ 一変量および多変量ロジスティック回帰分析を用いて、おむつ皮膚炎と可能性のある危険因子との関連を調査した。

 

結果

対象者のおむつ皮膚炎の有病率は36.1%であり、年齢とともに有意に減少した。

有病率が最も高かったのは生後1~6ヶ月の参加者だった。

論文から引用。月齢が低いほどおむつ皮膚炎の発症率が高い。

■ 一変量解析および多変量解析の両方において、おむつ皮膚炎と統計的に有意な関連を示した危険因子は、i)おむつ交換回数が1晩に3回未満であること、ii)おむつ皮膚炎の既往歴、iii)布おむつの使用、iv)おむつの部分にタルカムベビーパウダーを外用していることだった。

論文から引用。おむつ皮膚炎の発症リスク因子。

 

結論

■ 日中に頻繁におむつを交換しても、夜間の交換回数の減少を補うことはできない。

■ さらに、タルカムベビーパウダーをおむつの部分に使用すると、研究対象者のおむつ皮膚炎のリスクが有意に増加した。

■ これらの知見は、この年齢層におけるおむつ皮膚炎の予防戦略に生かされるべきである。

 

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ベビーパウダー(タルカムパウダー)の使用は、見合わせられることになってきそうです。

■ 日本における『ベビーパウダー』は、和光堂が最初に販売を開始し、『シッカロール』という名前がついています。

■ そして、日本におけるベビーパウダーは、タルカムパウダーよりもコンスターチパウダーが使われることが多く、最初にお話したテーマとはすこし離れるようです。

(コーンスターチパウダーは、以前はよく医療用などの手袋に滑りをよくするために使われていましたが、これにも問題が指摘できるのですが…また別の記事で触れます。)

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■ しかし、一部にはタルクパウダーも含有されている商品もあります。

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■ その効果が低い(もしくは悪化に関与する?)のであれば、亜鉛華軟膏を予防に使ったほうがよさそうですね。

■ とはいえ、今回の研究は横断研究ですので、『おむつ皮膚炎のひとがベビーパウダーをよく使う』可能性もあります。この研究では、研究対象者の37.1%(1153人中428人)がおむつ域でベビーパウダーを使用し、おむつ域へクリームを使用しているのは13.6%(1153人中157人)だったそうです。

 

今日のまとめ!

 ✅ ベビーパウダー(タルカムパウダー)は、おむつ皮膚炎の悪化に関係するかもしれない。

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