以下、論文紹介と解説です。

Phadungsaksawasdi P, Sirithanabadeekul P. Ultraviolet filters in sunscreen products labeled for use in children and for sensitive skin. Pediatric Dermatology 2020.

タイのバンコクで市販されている日焼け止め246製品のうち、「子ども用」または「敏感肌用・低刺激性」と表示された日焼け止め製品の感作性物質の含有を調査した。

背景

■ 日焼け止め製品の有効成分は紫外線(ultraviolet; UV)フィルターであり、その多くは潜在的なアレルゲンとして知られている。

■ 吸収性やアレルゲン感作性が懸念されるため、低年齢の子どもや敏感肌の人が日焼け止めを使用する場合は特に注意が必要である。

 

目的

■ 本研究では、「子ども用」または「敏感肌用・低刺激性」と表示された日焼け止め製品の紫外線フィルターを評価し、一般的な日焼け止め製品と比較することを目的としていた。

 

方法

■ 2017年12月から2018年3月にかけて、タイのバンコクで市販されている日焼け止め製品の成分表示を分析した。

 

分析結果

■ 日焼け止め246製品を調査した。

■ そのうち、20製品(8.1%)が「子ども用」として販売されており、41製品(16.6%)には 「敏感肌用」または 「低刺激性」と表示されていた。

メトキシケイ皮酸エチルヘキシル(EHMC)とベンゾフェノン-3(BP3)は、子ども向け製品ではあまり含まれていなかった(それぞれP = 0.004およびP = 0.029)

■ 子ども用と表示された日焼け止め製品の85%には、少なくとも1種類の化学性のUVフィルターが含まれていた。

敏感肌用と表示された製品のBP3、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(BMDM)、オクトクリレン(OCR)については、特定の表示がない製品と比較して有意な差はなかった

■ さらに、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(MBBT)は、敏感肌用製品では非敏感肌用製品よりも多く含有されていた(P = 0.001)。

 

結論

アレルゲン性のあるUVフィルターは、敏感肌用と子ども用と表示された日焼け止めにも含まれていた

■ アレルギーを起こしやすい皮膚への効果と安全性を向上させるために、これらのラベルを表示するための規制を確立すべきである。

 

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日焼け止めの『おすすめ製品』は、なかなか難しい。

■ 最近おこなわれた、子どもの日焼け止めに対する接触皮膚炎に対する検討では、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル(EHMC)とベンゾフェノン-3(BP3)が多いという報告があります。

■ そのため、『子ども向け』という表記の製品はある程度配慮されているともいえそうですが、一方で規制や基準がない以上、あまり『子ども向け』『敏感肌』が当てにしにくいことも問題です。

■ 実際、『子ども向け』はあまり接触皮膚炎に配慮しているわけではないという報告もあります。

 

には、メトキシケイ皮酸エチルヘキシルもベンゾフェノン-3も含有されていないみたいで、

には、メトキシケイ皮酸エチルヘキシルが含有されていました。

あくまでご参考まで…

 

今日のまとめ!

 ✅ 『こども用』『敏感肌用』が、必ずしも接触性皮膚炎を起こさない成分に配慮されているとは限らない。

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