以下、論文紹介と解説です。
Blazowski L, et al. Food allergy endotype with high risk of severe anaphylaxis in children—Monosensitization to cashew 2S albumin Ana o 3. Allergy 2019; 74:1945-55.
全身性アレルギー反応やアナフィラキシーで入院した217人において、ヘーゼルナッツ(Cor a 14)およびカシューナッツ(Ana o 3)に対する特異的IgE抗体価を検査し、症状との関連を調査した。
背景
■ 小児の食物アレルギーは生命を脅かす可能性がある。
■ 食物アナフィラキシーに対するComponent‐resolved diagnosticsアプローチは、小児ではほとんど評価されていない。
■ 本研究の目的は、大規模な人口ベースのセッティングにおいて、小児における重症アナフィラキシーの引き金となる食物アレルゲンコンポーネントを、特徴と関連リスクを特定することだった。
方法
■ 全身性アレルギー反応(systemic allergic reaction; SAR)と食物によるアナフィラキシーが原因で入院した小児217人をリクルートした。
■ 病歴を評価し、原因アレルゲンとアナフィラキシー重症度を確定した。
■ 多抗原ImmunoCAP ISACイムノアッセイを用いて112種のアレルゲンコンポーネント特異的IgE抗体価、単抗原ImmunoCAPイムノアッセイを用いてヘーゼルナッツ(Cor a 14)およびカシューナッツ(Ana o 3)に対する特異的IgE抗体価を測定した。
結果
■ 237人におけるSAR/アナフィラキシーに関するデータを解析した。
■ アレルゲンコンポーネントのトリガーを、症状のエピソードごとに定義した。
■ SAR/アナフィラキシーのトリガーとして最も多かったのはナッツ類(50.6%)であり、その中でも貯蔵蛋白質が引き金となっていた。
■ カシューナッツにおけるAna o 3( 2Sアルブミン)(aOR 15.0; 95% CI 3.27~73.47)、小麦におけるTri a 19(aOR = 9.93; 95% CI 1.73~56.97)、ヘーゼルナッツにおけるCor a 9(aOR 6.53; 95% CI 1.16~36.72)が引き金となったアナフィラキシーは、心血管症状や重篤な呼吸器症状を含むもっとも強い臨床症状だった( Cox scaleにおけるgrade IV~V vs grade I~III)。
■ SAR/アナフィラキシー患児 237人中13人(5.5%)はAna o3が引き金となっていた。
■ 重症のアナフィラキシー患者の約82%はこのコンポーネントのみに感作されており、他の食物に対する感作を併発していなかった。
結論
■ Ana o 3のみへの感作は、他のパラメータに関係なく、重症アナフィラキシーの高いリスクに関連している。
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コンポーネント検査は、さらに多様な検査ができるようになってくることが期待されています。
■ 残念ながら、まだまだすべてのコンポーネント検査ができるわけではないのですが、たとえば大豆におけるGly m4、ラテックスにおけるHev b 6.02、クルミにおけるJug r 1などが、保険適用となり、有用性を増しています。
■ 今後はゴマにおけるSes i 1などが期待されています。
今日のまとめ!
✅ カシューナッツにおけるAna o3特異的IgE抗体価は、重篤なアナフィラキシーを起こす可能性を予測する。