以下、論文紹介と解説です。

Yu C-L, et al. Treatment of allergic rhinitis reduces acute asthma exacerbation risk among asthmatic children aged 2–18 years. Journal of Microbiology, Immunology and Infection 2019; 52:991-9.

台湾の国立衛生研究所のデータベースを用いて、2000 年~ 2012 年までに喘息と診断され、その後 1 年以上の追跡調査を受けた患児を対象に喘息発作の急性増悪の危険因子の評価を行った。

背景・目的

■ 喘息とアレルギー性鼻炎(allergic rhinitis; AR)は,小児期や青年期には併発することが多い。

■ そこで、2~6歳および7~18歳の喘息患者を対象に,ARが喘息の急性増悪(acute exacerbation; AE)に及ぼす影響の有無、ARに対するステロイド点鼻薬(intranasal corticosteroid; INCS)第2世代抗ヒスタミン薬(second-generation antihistamines; SGH)の投与がARやAEの関連性を変化させるかどうかを検討した。

 

方法

■ 台湾の国立衛生研究所(National Health Research Institutes; NHRI)データベース 2005 を用いて、2000 年から 2012 年までに喘息と診断され、その後 1 年以上の追跡調査を受けた患者を対象にAE の危険因子の評価を行った。

■ また、AEの危険因子を多重コックス比例ハザード回帰分析を用いて評価した。

 

結果

AE の発生率は、未就学児群の方が高年齢群よりも高かった(adj.HR 1.68; 95%CI 1.44~1.95)

■ INCSおよび/またはSGHを使用したAR群は、非AR群に比べてAEの発症リスクが低いことが明らかとなった(adj.HR 0.32; 0.44~0.30)が,治療を行わなかったAR群では非AR群との有意差が認められなかった。

■ プロペンシティスコアマッチングを行ったところ、2~6歳(adj.HR 0.38; 0.57~0.45)および7~18歳(adj.HR 0.50; 0.52~0.35)のAR患者において、INCSやSGHの使用はAEの発生を有意に減少させることが示唆された。

 

結論

■ 就学前においては、高齢者に比べ一般的に AE の発生率が高かった。

■ AR患者における喘息のAE発生率を低下させるためには、INCSおよび/またはSGHによる適切な治療が重要である。

 

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コントロールが難しい喘息に対する治療は、吸入ステロイド薬を増やす以外に『組み立てを考える』のもひとつの方法。

■ 野球で言えば、ステロイド吸入薬の増量は『ストレートの球速を上げる』みたいなものですが、その球速には上限があります。

■ ですので、カーブやフォークを織り交ぜつつ、『組み立て』で勝負を考えるわけです。

■ そのほうが、さまざまな喘息に対応しやすくなると思っています。

■  たとえば、『喘鳴がずっと取れず、吸入ステロイド薬を限界まで増やしてたけどこれ以上は治療できないので紹介』という患者さんに対し、ベビーミスト+ステロイド点鼻併用
で改善することもあります(一例ですので医師にご相談くださいね)。

 

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今日のまとめ!

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