以下、論文紹介と解説です。
Adomaite I, et al. Food allergens in skincare products marketed for children. Contact Dermatitis. [Online ahead of print.] PMID: 32588439
子ども向けに販売されているスキンケア製品に含まれる食物アレルゲンの含有率、成分表示や製品価格との関連性を調査した。
背景
■ 食物アレルゲンを含む製剤の塗布は、経皮感作や症状の誘発を引き起こす可能性がある。
■ 子ども用スキンケア製品に含まれる食物アレルゲンの含有率は不明である。
目的
■ 子ども向けに販売されているスキンケア製品に含まれる食物アレルゲンの含有率、その関連性と成分表示や製品価格との関連性を調査する。
方法
■ 乳、卵、小麦、大豆、オーツ麦、ナッツ類、ピーナッツ、ゴマが含まれているかどうか、スキンケア製品276製品の成分表示を確認した。
結果
■ 製品の3分の1以上(108製品; 39.1%)に、少なくとも1種類のアレルゲンが記載されていた。
■ 計156種のアレルゲンが記録されており、そのうちアーモンド65種類(41.7%)、小麦が35種類(22.4%)、大豆が24種類(15.4%)、オーツ麦が16種類(10.3%)、ゴマが13種類(8.3%)、牛乳が2種類(1.3%)、ピーナッツが1種類(0.6%)だった。
■ ナチュラルまたはエコロジーを謳っている製品は、そう表示されていない製品よりも食物アレルゲンを含む可能性が高かった(P < 0.001)。
■ 食物アレルゲンを含む製品は、アレルゲンを含まない製品に比べて価格が高かった(P = 0.028)。
結論
■ 食物アレルゲンは子ども用化粧品、特に”ナチュラル”や”エコロジー”を謳っているものに多く含まれている。
■ 最も多く含まれている食物アレルゲンは、アーモンド、小麦、大豆だった。
■ 食物アレルゲンを含む製品は、アレルゲンを含まない製品よりも高価だった。
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食品成分が含有されたスキンケア製品は少なくない。
■ ピーナッツが含まれる製品が少ないのは、先行した研究が影響したのでしょう。
■ しかし、ピーナッツオイルのみが食物アレルギーの原因になるわけではありません。
■ 高価で自然の…と書いてあるほうがリスクが高いとなると、やはり気をつけておいて損はないでしょう。
■ 成人になってからでも、湿疹のある部分に特定のたんぱく質を付着させているとかえってその食物に対するアレルギーになる可能性が高くなることが報告されています。
■ とくに皮膚が悪化している場合は、食品成分が含まれていない製品を選択したほうがいいのかもしれませんし。
■ なお、この研究はリトアニアからの報告ですので、日本ではどれくらいなのかが気になるところです。
今日のまとめ!
✅ 高価で”ナチュラル”と書いてあるほうが、食品成分が含まれているスキンケア用品である可能性が高くなる。