以下、論文紹介と解説です。
Nguyen-Huu N-H, et al. Human papillomavirus vaccination coverage, policies, and practical implementation across Europe. Vaccine 2020; 38:1315-31.
EUにスイスを含めた31カ国における、HPVワクチンの接種率に関係する因子を調査した。
背景
■ 我々の目的は、欧州連合/欧州経済圏加盟国30カ国とスイスにおけるヒトパピローマウイルスワクチン接種率(Human Papillomavirus vaccination coverage rates; HPV-VCR)、政策、およびプログラム実施のための実際的な手順を説明することだった。
方法
■ 2006年1月から2017年1月までにウェブサイトおよびMedlineにインデックスされた記事からの情報をレビューし、標準化されたフォームを使用して抽出した。
■ 集計された情報を更新するために、2017年12月に全国の専門家を対象に横断的な調査を実施した。
結果
■ データは31カ国で入手可能であり、そのうち28カ国では専門家による検証が行われた。
■ 国別のワクチン接種プログラムは、30カ国で9~15歳の女児を対象としており、11カ国で男児を対象としていた。
■ 女児の HPV-VCR は 25 カ国で調査された。
■ VCRは10カ国で71%以上(高)、7カ国で51~70%、4カ国で31~50%、4カ国で30%以下(非常に低い)と報告された。
■ VCRが高い国では、HPVワクチンの接種は主に学校保健サービスを通じて行われており、接種のための案内状やリマインダーが使用されていた。
■ VCRが非常に低い地域では、接種は日和見的に行われる傾向があり、リマインダーは使用されていなかった。
結論
■ この調査結果によると、構造化された予防接種プログラム内での学校への伝達とリマインダーの使用は、HPV-VCRが最も高くなることと関連している傾向があった。
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学校での通知やリマインダーが、HPVワクチンの接種率の改善に有効である。
■ 日本ではHPVワクチンは定期接種です。
■ 定期接種は一般的に、受けられる時期がきた場合はそれぞれの自治体から個別に「予防接種のお知らせ」が来るのですが、HPVワクチンのみそれがないというというアンバランスな状況です。
■ 定期接種にもかかわらず「積極的な接種勧奨の一時差し控え」という状況があるからです。
■ 早期の積極的な接種勧奨再開が望まれます。
今日のまとめ!
✅ 学校での通知やリマインダーが、HPVワクチンの接種率の改善に有効である。