以下、論文紹介と解説です。
Duan Y, et al Randomized Pilot Clinical Assessment Of Three Skincare Regimens On Skin Conditions In Infants. Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology 2019; 12:895.
計150人の乳児(満期産児; 試験参加時 生後0〜6か月)を登録し、1)液体ベビー用洗浄剤を使用した後にベビーローションを塗布群(洗浄+ローション)、2)水のみで洗浄したあとベビーローション塗布群(水+ローション)、3)水のみの洗浄群にランダム化し、12週間観察した。
イントロダクション
■ スキンケア製品や、水のみでのスキンケアが乳児の皮膚へどのように影響するかを比較したデータはほとんどない。
対象者と方法
■ この単施設評価者盲検並行群間パイロット試験では、健常乳児を対象に、ほぼ毎日(夏期に開始し冬期で終了)12週間、マイルドな液体ベビー用洗浄剤を使用した後にベビーローションを塗布群(洗浄+ローション)、水のみで洗浄したあとベビーローション塗布群(水+ローション)、水のみの洗浄群にランダム化した。
論文から引用。研究フローチャート。
■ そして皮膚の保湿状況とバリア機能の臨床的・器質的評価を行った。
結果
■ 予想通り、すべての群の皮膚状態は季節の変化の影響を受けていた。
■ すべての群の乳児の皮膚は(季節により)すこし悪化(臨床的評価)し、水分量は低下し、バリア機能は上昇していた。
■ 12週目の機器による測定値は、水のみの群よりも洗浄+ローション群や水+ローション群の方が皮膚の水分量や皮膚バリア機能が良好に維持されていたことが示された。
■ 臨床評価スコアはすべての群で12週目にわずかに上昇した(P<0.05)。
■ 12週目に、洗浄+ローション群(44人)は、水のみ+ローション群(43人)や水のみの洗浄群(43人)と比較して、皮膚の全体的状態や柔らかさにおいて、試験開始からの変化が有意に少なかった(スコアが低値)。
論文から引用。洗浄剤+ローション群の変化が一番少ない。
■ 洗浄+ローション群では、他の群に比べて平均値が低く、経時的にみて紅斑や発疹のスコアが低く維持された。
結論
■ 液体ベビー洗浄剤とローションを12週間使用すると、水のみの洗浄+ローション、または水のみの洗浄と比較して、皮膚の器質的・臨床的な尺度での有害な変化が少なかった。
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乳児期に洗浄剤を使用するのはいけないわけではなく、保湿剤と併用すればむしろ『安定させやすくなる』かもしれない。
■ あくまで保湿ローションを追加しての話ですが、マイルドな洗浄剤であれば、むしろ使ったほうがいいのかもしれません。
■ 患者さんに応じて変更も必要と思っていますが、すくなくとも、『使ってはいけない』ではなさそうですね。
▶乳児期の洗浄でどれがいいか尋ねられた時に、『ミヨシのハンドソープ』を挙げることが多いです。
根拠が十分あるわけではないのですが、比較的洗浄力がマイルドで流しやすいようです。これでないといけないわけではありません。
※現在売り切れみたいで、『パントリー』に紐付けしています。
▶乳児期の保湿剤も、どれがいいかを尋ねられた場合、最初はこちらをすすめる事が多いです。
一応、乳児期に使用された報告があります。しかし、他の保湿剤と比較されたわけではないので、これでないといけないわけではありません。
今日のまとめ!
✅ 乳児期に洗浄剤ほ保湿ローションを併用すると、皮膚を安定させやすくなるようだ。