以下、論文紹介と解説です。

Garcia Bartels N, et al. Influence of bathing or washing on skin barrier function in newborns during the first four weeks of life. Skin Pharmacol Physiol 2009; 22:248-57.

生後48時間の健康な正期産新生児57人を、水で洗浄する群、水で湿らせたタオルで洗浄する群にランダム化し、28日目までの皮膚の状態を確認した。

背景と目的

■ 出生後の皮膚バリア機能は不安定な状態であり、機能不全のリスクがある。

■ そこで、2種類の標準的な洗浄方法が新生児の皮膚バリア機能に及ぼす影響を比較した。

 

方法

■ 生後48時間の健康な正期産新生児57人を、清潔な水で週2回入浴した入浴群(B群; 29人)清潔な水で湿らせたタオルで週2回洗浄した洗浄群(W群; 28人)のいずれかにランダム化した。

管理人注
それぞれの洗浄方法は以下の通り。
すべての新生児は、出産後約2時間後に濡れたタオルと水道水で全身を洗浄し、生後7日目までは週2回、濡れた綿のタオルと水道水により同じ洗浄方法だった。
そして、
B群では、生後7日目以降に水道水で入浴した。
W群では、生後7日目以降に水道水で湿らせた湿った綿のタオルで洗浄を続けた。
いずれの方法も約5分で、週2回実施した。
どちらの方法も、洗浄剤や他の製品は水に添加されなかった。
水温とpHはそれぞれ37~38℃、7.9~8.2だった。
水道水の平均硬度は13.4°dH(範囲7~25)だった。
調査期間中は、パンパースの新生児用オムツが提供された。
保護者には、研究期間中はスキンケア製品で皮膚をケアしないように指示されたが、皮膚の外傷やおむつ皮膚炎には、外用剤の使用が許可された。

■ 生後2日目、7日目、28日目に、前額部、腹部、上肢、臀部の経表皮水分蒸散量(Transepidermal water loss; TEWL)、皮膚pH、角質水分量(stratum corneum hydration; SCH)、皮脂産生量を測定した。

 

測定結果

28日目に、B群はW群に比べて臀部のTEWLが有意に低く、腹部と前額部のSCHが高かった

 

結論

■ いずれのスキンケア方法も、生後4週間以内の健常新生児の皮膚バリア順応を損なうことはない。

■ 皮膚バリア機能は出生後、局所的に特異的な様式で差異を生じる。

 

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濡らした綿のタオルで清拭するような方法は、『多少』皮膚のバリアを下げたり角質水分量を減らす可能性があるが、大きな影響はなさそうだ。

■ ガーゼではなく、綿のタオルによる検討です。

■ 湿らせた綿のタオルで洗うという方法より、水のみで洗浄したほうが『多少』皮膚は安定しやすいといえそうですが、全体的な傾向としては使用の有無で大きな差はありませんでした。

■ ごしごし擦らないように気をつければ、どちらでも良いように思います。

■ なお、洗浄剤を使うかどうかに関しては、保湿ローションを使う前提なら、使ったほうがよいという報告があります。

 

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今日のまとめ!

 ✅ 濡らした綿のタオルで清拭するような方法は、『多少』皮膚のバリアを下げたり角質水分量を減らす可能性があるが、大きな影響はなさそうだ。

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