以下、論文紹介と解説です。
Komoda M, et al. Efficacy and safety of a combination regimen of phenothrin and ivermectin lotion in patients with head lice in Okinawa, Japan. The Journal of Dermatology 2020.
アタマジラミ症の12人に対しスミスリンを投与し、消失しなかった7人にイベルメクチンローションを投与した。
背景・目的
■ 日本ではピレスロイド系耐性アタマジラミが増加しているが、ピレスロイド系薬剤であるフェノトリン0.4%製剤しか市販されていない。
■ 近年、疥癬に対し、フェノトリン(phenothrin; PHT)を5%配合したSumithrin®ローションが承認された。
■ 米国では、ピレスロイド系薬剤耐性アタマジラミの治療にイベルメクチン(ivermectin; IVM)を0.5%含有するSklice®ローションが使用されている。
■ そこで、日本におけるアタマジラミ治療の充実を図るため、PHTとIVMの併用レジメン(PIレジメン)の有効性と安全性を確認するための臨床試験を実施した。
方法・結果
■ 12例を登録し,1日目に全例にPHTを使用した。
■ 8日目には5例(41.7%)にアタマシラミが発生しておらず、再度PHTを投与した。
■ 7人はシラミが消失しないまま、IVMに切り替えられた。
■ 主要評価項目であるPIレジメンでシラミが消失した患者の率は、15日目に75.0%、22日目に91.7%だった。
■ 有害事象は報告されなかった。
■ 各診察で採取したアタマジラミの遺伝子解析では、全患者でkdr変異が認められた。
結論
■ これらの結果から,PIレジメンは日本におけるピレスロイド耐性アタマジラミの治療に安全かつ有効であることが示唆された。
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今後、新しいアタマジラミに対する治療を用意する必要性がある。
■ 沖縄ではフェノトリン(スミスリン)耐性のシラミが出現し、ほとんどを占めるようになっています。
■ しかし、濃度を上げたスミスリンシャンプー(スミスリンシャンプープレミアム)は有効ではないようです。
■ イベルメクチンはノーベル賞を受賞された大村博士の発見した原虫治療薬です。今後、治療に使えるようになれば…と思っています。
今日のまとめ!
✅ スミスリン耐性アタマジラミ症に対し、イベルメクチンローションは有効なようだ。