以下、論文紹介と解説です。

Abuelgasim H, Albury C, Lee J. Effectiveness of honey for symptomatic relief in upper respiratory tract infections: a systematic review and meta-analysis. BMJ Evidence-Based Medicine 2020.

上気道感染症の症状緩和に対する蜂蜜の有効性をみた14研究のシステマティックレビューを実施した。

 
背景

■ プライマリケアにおける上気道感染症(upper respiratory tract infections; URTI)に対する抗生物質の過剰処方は、抗菌薬に対する耐性を悪化させる。

■ そこで、抗生物質の処方に代わる効果的な方法が必要とされている。

■ 蜂蜜はURTIのための一般的な治療薬であり、その使用のための新たなエビデンスがある。

■ 蜂蜜には抗菌性があり、ガイドラインでは小児の急性咳嗽に蜂蜜を推奨している。

 

目的

■ URTIの症状緩和に対する蜂蜜の有効性を評価する。

 

方法

■ システマティックレビューとメタアナリシスによる。

■ Pubmed、Embase、Web of Science、AMED、Cab abstracts、 Cochrane Library、LILACS、CINAHLにおいて、キーワードとMeSH用語を組み合わせて検索した。

 

結果

■ 1345件の固有の報告を特定し、14件の研究が含まれた。

■ 全体的なバイアスリスクは中程度だった。

通常ケアと比較して、蜂蜜は症状スコア(3件; 平均差 -3.96; 95%CI -5.42~-2.51; I2=0%)、咳の回数(8件; 標準平均差 [SMD] -0.36; 95%CI -0.50~-0.21; I2=0%)、咳の重症度(5件; SMD -0.44; 95%CI -0.64~-0.25; I2=20%)を改善した。

論文から引用。咳スコア、咳の頻度、咳の重症度ともに軽減している。

■ 症状の軽減に関し蜂蜜とプラセボを比較した研究2件を統合したた(SMD -0.63; 95%CI -1.44~0.18; I2=91%)。

 

結論

■ 上気道感染症の症状改善には、通常ケアよりも蜂蜜の方が優れていた。

■ 蜂蜜は抗生物質に代わる、広く利用可能で安価な代替薬である。

■ 蜂蜜は抗菌薬耐性の拡大を遅らせる効果がある可能性があるが、さらなる質の高いプラセボ対照試験が必要である。

 

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咳に対する蜂蜜は、1歳以降では有効といえそうだが機序はまだよくわかっていないようだ。

■ もちろん、小児に対しての蜂蜜は1歳未満に禁忌です(ボツリヌス菌感染のリスクのため)。

■ 個人的には1歳半以降までは少なくとも待つことにしています。

■ なお、どうでも良い知識ですが、1歳未満でもメープルシロップは使えるそうです。

※2020/8/26追記 メープルシロップが咳に有効…という意味ではありません。

 

今日のまとめ!

 ✅ 蜂蜜は、咳の改善に有効といえそうだ。

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