以下、論文紹介と解説です。

Pizzulli A, et al. The impact of nasal aspiration with an automatic device on upper and lower respiratory symptoms in wheezing children: a pilot case-control study. Ital J Pediatr 2018; 44:68.

繰り返す喘鳴のある児(生後3~72ヶ月)91人に対し、自動鼻吸引器を使用したネブライザー使用群(介入群)と、鼻吸引を使用しないネブライザー使用群(対照群)に関する風邪の経過を比較した。

背景

■ 上気道感染時の鼻の分泌物の適切な吸引が、下気道の症状の頻度や重症度に与える影響については、これまで検討されたことがない。

■ 本研究は、繰り返す喘鳴児に対し自動鼻吸引器を用いて鼻腔をきれいにすることが、寒い季節のときの上気道・下気道症状を改善するかどうかを検証することを目的とした。

 

管理人注
この研究では、『寒い季節』は1月から4月が想定されています。

 

 

方法

■ 喘鳴児(生後3~72ヶ月)の保護者はアンケートに回答し、自動鼻吸引器(DuoBaby; オムロン; 日本)を使用したネブライザー(介入群)と、鼻吸引を使用しないネブライザー(対照群)の使用方法を学んだ。

■ 90日間のモニタリング期間中、両親は児の上気道と下気道の症状を電子日記(BreathMonitor, TPS, Rome, Italy)に記入した。

 

結果

■ 91人中89人(介入群43例; 対照群46人)が試験を完了した。

上気道症状(25.0% vs 46.4%、p=0.004)または下気道症状(21.8% vs 32.8%; p=0.022)が報告された日数、サルブタモール吸入が報告された日数(12.2% vs 16.9%; p<0.001)は、介入群の方が対照群よりも少なかった

論文から引用。鼻汁吸引群の方がサルブタモール(気管支拡張薬)の使用が少ない。

上気道症状のエピソードは、介入群では対照群よりも短くなり(4.3日 [95%CI:3.8-4.9] vs 5.7日 [95%CI:5.0-6.4] ; p=0.007)、頻度は有意には少なくならなかった (2.3 [95%CI:1.8-2.8] vs 2.6 [95%CI:2.2-3.0] ; p=0.122)。

■ 同様に、下気道症状のエピソードは、鼻吸引群 3.8日(95%CI:3.4-4.2) vs 対照群 4.4日(95%CI:4.4-6.0)( p = 0.067)と短くなる傾向があったが、頻度は低下しなかった(1.9日 [95%CI:1.5-2.3] vs 2.1日 [95%CI:1.7-2.4] ; p = 0.240)。

 

結論

■ このパイロット研究では、くりかえす喘鳴の既往歴のある児への鼻吸引器の使用は、寒い季節の呼吸器の健康状態の改善と関連していた。

 

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小児の風邪に、鼻汁吸引を併用したネブライザー吸入は有効。

■ 鼻汁吸引は、小児の風邪に有効であるという結果でした。

■ この論文はだいぶん探した挙げ句、これくらいしか鼻汁吸引のランダム化比較試験はなさそうで、大規模に鼻汁吸引の器具のリスクを評価した研究くらいしかたどり着けませんでした(Minerva Pediatr 2007; 59:315-25.)。

 

■ なお、この研究で使用された『Duo Baby』は、いわゆるネブライザーと鼻汁吸引器の両方の機能を持っている器械のようですが、残念ながら日本での発売はないようです。

※YouTubeから引用。

■ 日本では下記のような鼻汁吸引器が使用されており、私は『メルシーポット』を勧めることが多いです。

 

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今日のまとめ!

 ✅ くりかえす喘鳴のある乳幼児に対し、鼻汁吸引は症状の改善に有効なようだ。

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