以下、論文紹介と解説です。

Wald ER, et al. Clinical practice guideline for the diagnosis and management of acute bacterial sinusitis in children aged 1 to 18 years. Pediatrics 2013; 132:e262-80.

小児および青年に対する急性副鼻腔炎の米国ガイドラインがアップデートされた。

目的

■ 小児および青年に対する急性細菌性副鼻腔炎の診断と管理に関する米国小児科学会臨床実践ガイドラインを更新する。

 

方法

■ ガイドラインの最終版(2001年)以降に発表された医学文献を分析する。

 

結果

急性細菌性副鼻腔炎は、急性上気道感染症(upper respiratory tract infection; URI)の小児が、(1)症状が持続する(鼻汁もしくは昼間の咳、またはその両方が10日以上改善せずに持続する)、(2)悪化する(最初の改善後の鼻汁・昼間の咳・発熱の増悪もしくは新規発症)、(3)重症化(発熱の併発(発熱 [体温が39℃以上]と3日以上連続した膿性鼻汁の併発)で診断される。

■ 臨床医は、急性細菌性副鼻腔炎とウイルス性URIを鑑別するために、いかなる種類の画像検査も実施するべきではない。

■ 急性細菌性副鼻腔炎が重症化もしくは増悪した小児に対しては、抗生物質治療を処方すべきである。

■ 臨床医は、抗生物質を処方するか、症状が持続している小児に3日間の追加観察を行うべきである。

クラブラン酸の有無にかかわらず、アモキシシリンは急性細菌性副鼻腔炎のファーストラインの治療である。

■ 保護者からの増悪(初期の徴候/症状が進行もしくは新しい徴候/症状が出現)または初期治療から72時間以内に改善しないという報告がある場合、臨床医は初期治療を再評価すべきである。

■ 症状の悪化もしくは改善がみられない小児において急性細菌性副鼻腔炎の診断が確定された場合、医師は最初に抗生物質で管理されていた小児に対する抗生物質療法を変更するか、または初期に経過観察されていた小児に対する抗生物質治療を開始する。

 

結論

■ 今回の改訂では、「増悪している」という臨床所見を追加、直ちに治療を行うか、または治療前に3日間症状を観察するという選択肢を含み、合併症のない急性細菌性副鼻腔炎の小児では画像検査は不要であることを示すエビデンスを再検討した。

 

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副鼻腔炎や中耳炎などに関し、軽症を判断し経過をみることができて抗菌薬を適正に使用できるようになることが求められている。

■ 軽症であれば、3日間抗菌薬を使わず経過を確認するという方法もあるということです。

■ ただ、この場合問題になるのは『3日後に受診できるか』という点で、 手持ちに抗菌薬をもっておいていただき、症状が続くならつかうという方法もあるようです。

■ また、初期治療にペニシリンを使う、という選択肢がきちんともたなければなりません。

■ 個人的には、軽症の中耳炎や副鼻腔炎、もしくは単なる風邪にセフェム系抗菌薬やニューキノロン系抗菌薬を多用する医療者にあたった場合は、『受診を控える』くらいはしても良いと考えています。

■ なお、急性副鼻腔炎でレントゲンを実施することはほとんどありませんが、必要な場合もありますし、慢性副鼻腔炎でも治療効果をみるために実施することもあります。あくまで不要なレントゲン検査は避けるべきということです。

 

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今日のまとめ!

 ✅ 小児の急性副鼻腔炎は、臨床経過での診断を優先し、あえて3日間経過をみるという選択肢をもち、ペニシリン系抗菌薬で治療開始することが推奨される。

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