以下、論文紹介と解説です。
Sopo SM, et al. A multicentre retrospective study of 66 Italian children with food protein-induced enterocolitis syndrome: different management for different phenotypes. Clinical & Experimental Allergy 2012; 42:1257-65.
イタリアで登録された食物蛋白誘発胃腸炎66人の経過をレトロスペクティブに確認した。
背景
■ 食物蛋白誘発胃腸炎(Food Protein‐Induced Enterocolitis Syndrome ; FPIES)は、特定の食物タンパク質の摂取によって引き起こされるIgEの関与しない小児の疾患である。
■ この症候群の特徴の大部分はまだ十分に明確にされていない。
目的
■ 本研究の目的は、イタリアの小児アレルギーセンター3施設で急性FPIESを発症した小児の人口統計学的特徴、原因食物、臨床的特徴、治療法、アウトカムを明らかにすることだった。
研究方法
■ 7年間(2004年~2010年)のレトロスペクティブ研究を実施した。
■ 医療機関における医療記録データベースと外来電子カルテをスクリーニングし、FPIESを診断した。
■ 最初とそれ以降のFPIESのエピソードに関する情報を収集した。
研究結果
■ 66人のFPIESを診断した。
■ 診断数は2008年から2010年に有意に増加した(P < 0.001)。
論文から引用。年々FPIESは増加している。
■ FPIESエピソードを計165件収集した(児あたり中央値2件; 範囲1~10件)。
■ トリガーとなる食物は牛乳が最も多く(65%)、次いで魚、卵、米、大豆、とうもろこし、鶏肉、山羊乳だった。
論文から引用。原因食物は乳がもっとも多いが、多彩な食物が原因となっている。
■ 56人(85%)が単一の食物に反応した。
■ 摂取してから症状が発現するまでの時間は平均2.4(± 0.7SD)時間だった。
■ 嘔吐が最も一般的な症状だった(98%)。
■ OFCで診断された患者のうち、78%が年齢における1食分にあたるトリガーとなる食物を食べた後に反応した。
■ トリガーとなる食物の皮膚プリックテスト(SPT)は97%で陰性だった。
■ 66人中32人(48%)が平均29±17SDヶ月で耐性に至った。
■ 牛乳の耐性に至った月齢は他の食品と比較して有意に低かった(24±8 vs 53±17ヵ月; P < 0.0006)。
論文から引用。寛解までの期間は乳以外の食物の方が長い。
結論
■ この検討では、イタリアにおけるFPIESについて、その最大の 症例集積を行うことで新たな洞察を提供し、ここ数年でFPIES診断の大幅な増加がどのように観察されているかを示している。
■ また、さまざまなフェノタイプが見られるこの症候群の管理に関しても論じた。
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乳に対する新生児乳児消化管アレルギーに比較して、卵や魚に対する新生児乳児消化管アレルギーの寛解が遅くなる可能性があることは念頭に置くべきと思われる。
■ 卵や魚に対する新生児乳児消化管アレルギーを診療することが増えており、対応に苦慮することがあります。
■ 乳に比較して寛解が長引く可能性があることは念頭に置くべきだろうと思います。
今日のまとめ!
✅ 卵や魚に対する新生児乳児消化管アレルギーの寛解は、乳より遅くなる可能性がある。