以下、論文紹介と解説です。
Cabaillot A, et al. Saline nasal irrigation for acute upper respiratory tract infections in infants and children: A systematic review and meta-analysis. Paediatr Respir Rev 2020 [Online ahead of print].
生理食塩水による鼻腔洗浄が、3ヵ月以上の乳児と12歳以下の小児の上気道感染症に有効化を評価したランダム化対照試験4件に対するメタアナリシスを実施した。
目的
■ 急性上気道感染症は、乳幼児や小児に最も多い感染症である。
■ そして、生理食塩水による鼻腔洗浄(Saline nasal irrigation; SNI)は、広く処方され推奨されている。
■ そこで、急性鼻咽頭炎の乳幼児・小児におけるSNIの有効性と安全性を評価するために,システマティックレビューを実施した。
方法
■ CENTRAL、Medline、Embase、clinicalTrials.govを検索した。
■ 2人の著者が、3ヵ月以上の乳児と12歳以下の小児を含むランダム化対照試験(randomized control trials; RCT)を選択した。
■ そして、鼻腔洗浄のために、投与方法が何であれ等張生理食塩水を使用し、ある治療法の回避、あまり重要でないと考えられる治療法とを比較した。
■ 試験の質は、2人の著者が独立して評価し、2人目の著者は3人目の著者とともにデータを抽出、分析した。
■ 統計解析は、Comprehensive Meta-Analysisソフトウェアを用いて行った。
■ 群間の標準化平均値差(standard difference in means; SMD)とその95%信頼区間を推定した。
結果
■ 4件のRCT(569人)が含まれた。
■ 解析の結果、臨床的な鼻症状(SMD = -0.29 [-0.45; -0.13])に対するSNIの有用性が示されたが、呼吸器症状(SMD = -0.19 [-0.70; 1.08])や健康状態(SMD = -0.30 [-0.68; 0.07])の有意な改善は認められなかった。
■ SNIの使用は、局所的なものであれ全身的なものであれ、他の治療、特に抗生物質の処方を制限するようだった。
■ 長期使用により、急性鼻副鼻腔炎やその合併症の発生率が減少した。
■ SNIは安全な治療法であると思われた。
結論
■ SNIは鼻症状には有効だが、呼吸器症状には有効ではない。
■ この治療法の利点とリスクを十分に検討するためには、さらなる研究が必要である。
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鼻洗浄は、小児のかぜに有効といえそうだ。
■ まだまだ十分な例数を検討できているとはいえませんが、やはり傾向としては鼻洗浄は小児のかぜに有用と言えそうです。
■ 鼻洗浄に関して、なかなか受け入れられない場合は、『ベビーミスト』なども方法になるかもしれません。
今日のまとめ!
✅ 小児のかぜに対する『鼻洗浄』は、有効と言えそうだ。