以下、論文紹介と解説です。
Vichyanond P, et al. Clinical characteristics of children with non-allergic rhinitis vs with allergic rhinitis. Asian Pacific journal of allergy and immunology 2010; 28:270.
慢性鼻炎の小児302名(14歳以下)を対象とし、どのような臨床症状がアレルギー性鼻炎(Allergic rhinitis; AR)と非アレルギー性鼻炎(nonallergic rhinitis; NAR)を鑑別するかを検討した。
背景
■ アレルギー性鼻炎(Allergic rhinitis; AR)と非アレルギー性鼻炎(nonallergic rhinitis; NAR)は慢性鼻炎の主な原因である。
■ しかし、小児の非アレルギー性鼻炎に関する知識は限られている。
目的
■ 慢性鼻炎の小児におけるNARとARを区別する臨床的特徴を検討する。
方法
■ 本研究は、2006年1月~12月までにSiriraj病院小児アレルギークリニックで診察を受けた慢性鼻炎の小児302名(14歳以下)を対象としたレトロスペクティブな質問調査である。
■ 皮膚プリックテスト(skin prick test; SPT)の結果に基づいて、ARとNARの2群に分類した。
■ 鼻炎と関連症状の臨床データについては、カルテのレビューで検討した。
結果
■ AR患者は222人(73.5%)、NAR患者は80人(26.5%)だった。
■ NAR患者の発症年齢の中央値はAR患者よりも若く(p=0.04)、AR患者の罹患期間はNAR患者よりも長かった(p<0.01)。
■ Allergic Rhinitis and its Impact on Asthma(ARIA)に基づく鼻炎の重症度は、両群間で差がなかった。
■ 鼻のかゆみ、くしゃみ、眼症状はARではNARよりも多くみとめられた(p<0.01)が、いびきと副鼻腔炎はNARのほうがARよりも多かった(p<0.01)。
■ 鼻のかゆみ(調整OR 2.73)、くしゃみ(調整OR 2.96)、眼症状(調整OR 1.49)の存在はARを強く示唆したが、いびきはNARの危険因子だった(調整後OR 3.11)。
結論
■ 鼻のかゆみ、くしゃみ、眼の症状がある場合はARが示唆される。
■ 副鼻腔炎や上気道閉塞症状はNAR患者に多く見られる。
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鼻炎症状を、症状のみから鑑別することは難しいケースもあるが、やはり鼻のかゆみ、くしゃみ、眼のかゆみといった症状は重要なポイントになりそうだ。
■ 当たり前な感じではありますが、アレルギー性鼻炎の特徴である鼻のかゆみ、くしゃみ、眼のかゆみなどがあり、長期間続いて年齢が高くなると、アレルギー性の可能性が高くなるということですね。
■ とはいえ、この2つを臨床症状から完全に見分けることは難しいでしょうし、季節性であるとか、鼻粘膜の性状であるなどの情報も考え合わせていく必要はありそうです。
今日のまとめ!
✅ アレルギー性鼻炎と非アレルギー性鼻炎の鑑別は、鼻のかゆみ、くしゃみ、眼のかゆみ、長期間続くことなどが鑑別ポイントになりそうだ。