以下、論文紹介と解説です。

Mattila J-M, et al. Comparative severity of influenza A and B infections in hospitalized children. The Pediatric Infectious Disease Journal 2020; 39:489-93.

インフルエンザA型またはインフルエンザB型で入院した16歳未満の小児391人の臨床症状などを比較した。

背景

■ 従来、インフルエンザA(FluA)ウイルスはインフルエンザB(FluB)ウイルスよりも重症化すると考えられてきたが、入院中の小児におけるFluA感染とFluB感染の臨床的重症度を比較した研究は、長い観察期間の研究はほとんどない。

 

方法

■ 2004年7月1日から2018年6月30日までの14年間に、ウイルス学的にFluAまたはFluB感染が確認されたフィンランドのTurku大学病院に入院した16歳未満のすべての小児の臨床症状、アウトカム、管理を分析した。

■ FluAとFluBのすべての比較は、事前に定義された年齢(0~2歳、3~9歳、10~15歳)と、すべての年齢を合わせた場合の両方で行った。

 

結果

■ FluAまたはFluBに感染して入院した小児391人のうち、FluAは279人(71.4%)、FluBは112人(28.6%)で診断された。\

■ 全体として、年齢別に分析した場合でも、すべての小児で分析した場合でも、FluA と B の小児では臨床的特徴、アウトカム、管理、集中治療室での治療、入院期間に有意差は認められなかった。

■ 最も重篤な臨床症状の指標として、FluAの101人(36.2%)、FluBの39人(34.8%)から血液培養が実施され(P=0.80)、FluAの16人(5.7%)、FluBの11人(9.8%)に腰椎穿刺が実施された(P=0.15).

 

結論

■ FluA とFluB 感染の臨床重症度は小児で同じようである。

■ 重症のインフルエンザ疾患に対する最適な予防のためには、小児では両系統の B ウイルスを含む 4 価ワクチンの使用が保証されていると考えられる。

 

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インフルエンザA型とB型で、重症度には差がないと考えて良さそうだ。

■ たまにA型とB型のどちらが症状が強いか尋ねられることがありますが、最近は『どちらも同じくらいみたいですよ。ですので、B型も2つはいって、4価ワクチンになったんです』とお答えするようになりました。

■ メタアナリシスがないかどうか探したことがありますが、いまのところないみたいです(あったらご教示ください)。

 

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今日のまとめ!

 ✅ インフルエンザA型とB型では、重症度に差はなさそうだ。

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