以下、論文紹介と解説です。
Kværner KJ, et al. Upper respiratory morbidity in preschool children: a cross-sectional study. Archives of Otolaryngology–Head & Neck Surgery 2000; 126:1201-6.
ノルウェーの4~5歳の未就学児 3853人に対しアンケート調査を行い、どれくらい上気道感染症を起こしているかを確認した。
目的
■ 未就学児における上気道感染症の発症と関連性を推定し、これらの感染症の決定要因としての体質的要因と環境的要因を評価する。
研究計画
■ 集団ベースの横断的研究。
セッティング
■ ノルウェー、オスロ。
参加者
■ 4~5歳の未就学児(3853人のアンケート調査)。
主なアウトカム尺度
■ 急性・再発性の急性中耳炎、扁桃咽頭炎、感冒、鼻炎。
結果
■ 上気道感染症は4歳時に多かった。
■ 前月に急性中耳炎を発症した子どもは7.1%,扁桃咽頭炎を発症した子どもは7.5%だった。
■ 感冒は58.3%,鼻炎は16.4%だった。
■ 過去12ヵ月間に急性中耳炎を1回以上経験した子どもは9.5%、扁桃咽頭炎を1回以上経験した子どもは6.9%、感冒を2回以上経験した子どもは47.7%、鼻炎を週1回または月1回経験した子どもは3.2%だった。
■ 再発性急性中耳炎の生涯有病率(12ヵ月間に4回以上)は12.7%(473人)だった。
■ 二変量の相関では、感染症ごとに軽微な~中等度の関係が認められた。
■ 風邪と中耳炎、扁桃咽頭炎、慢性鼻炎との関連は軽度だった。
■ 急性中耳炎を発症する率は、過去 1 年間に扁桃咽頭炎を発症した小児でほぼ 4 倍に増加した(調整オッズ比 4.19;95%信頼区間 3.09-5.66)。
■ ロジスティック回帰分析によると、アレルギー性疾患はすべての上気道感染症の強い決定因子だった。
■ 低出生体重は急性中耳炎のリスクを高めた。
■ 呼吸器病原体への曝露の指標と考えられる保育園への登園と兄弟姉妹の存在は、上気道感染症のリスクを高めた。
結論
■ 未就学児では、急性中耳炎、扁桃咽頭炎、感冒がよく見られたが、慢性鼻炎は頻度が低く、アレルギー疾患との関連が強かった。
■ この年齢層では、保育所への通園は上気道感染症のリスクを増加させたが、その効果は低年齢児に比べて低かった。
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4~5歳でも、まだまだ風邪や中耳炎の繰り返しは珍しくはない。
■ 風邪に関しては、小学校入学前でも少なくはないようです。
■ 中耳炎の繰り返しに関しては、免疫不全の可能性をすこし念頭に入れながらですが、個人的には十全大補湯で様子をみつつ、精査をするかどうかを考えていくことが多いです。
今日のまとめ!
✅ 小学校入学前くらいでも、風邪や中耳炎、咽頭扁桃炎はすくなからずある。