以下、論文紹介と解説です。

Lucas JS, et al. Comparison of the allergenicity of Actinidia deliciosa (kiwi fruit) and Actinidia chinensis (gold kiwi). Pediatric Allergy and Immunology 2005; 16:647-54.

グリーンキウイアレルギー 5人を対象に、ゴールドキウイに対する負荷試験を行い、その交差性を調査した。

背景・目的

Actinidia chinensis(ゴールドキウイ)は、グリーンキウイとのin vitroでのIgE交差反応性が示されている、新たに入手可能になった果実である。

■ これは、ゴールドキウイの臨床的反応性を調査した最初の研究である。

 

方法

■ グリーンキウイに対して臨床的にアレルギーのある患者5人を対象に、ゴールドキウイの果実を用いた皮膚試験と二重盲検プラセボ対照食物負荷試験(double‐blind placebo controlled food challenge; DBPCFC)を実施した。

■ 負荷試験をおこなった5人の個々の血清のIgE結合パターンと、さらに9人のキウイアレルギー患者の血清を、ウエスタンブロット法により2種類の果物のIgE結合パターンで比較した。

■ 2種類の果物に含まれるタンパク質の交差反応性は、免疫ブロットの阻害とIgE ELISAの阻害により評価した。

 

結果

5人のうち4人は、ゴールドキウイに対するDBPCFCが陽性だった。

管理人注
陽性率は高いものの、ゴールドキウイに対してグリーンキウイと同様に重篤な反応を示したのは1人で、3人はゴールドキウイに対して軽症の症状だったそうです。症状が比較的軽度であったのは、グリーンキウイの主要アレルゲンであるアクチニジンの濃度が低いからではと考察されています。

■ ウェスタンブロットでは、グリーンキウイとゴールドキウイのアレルゲンパターンに顕著な違いが認められた。

■ しかし、免疫ブロットとELISAアッセイの阻害は、他の種類による各果実のタンパク質へのIgE結合を広範に阻害することを示した

 

結論

■ ゴールドキウイはアレルギーを起こし、グリーンキウイにアレルギーのある患者はゴールドキウイ果実に反応する危険性がある。

■ 異なるタンパク質プロファイルとIgE結合パターンであるにもかかわらず、2種類のキウイは、IgE結合を広範囲に交差的に阻害するタンパク質を有する。

 

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キウイアレルギーは、少なからずあるものの除去が基本で種類により食べられる場合もあるものの、鑑別は用意ではない。

■ キウイはマタタビ科になりますが、ハンノキ花粉との関連がつよく疑われており、ハンノキ花粉にあまり感作されていないけれども、キウイに強く感作されている場合は、キウイで重篤な症状をきたしやすいことが示されています。

■ ゴールドキウイのほうが、キウイでアレルギーを起こしやすいアレルゲンが少なく、症状が軽くすむことも多いようですが、交差性は強く、安全とはいえなさそうです。

 

■ 最近、キウイはさらにレインボーキウイという種類もでてきていて、アレルギー対応としては複雑になってきています。

参考

レインボーキウイ(Wiki)(画像は写真AC)

■ 種類ごとの鑑別はなかなか難しいのが現状と言えそうです。

 

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今日のまとめ!

 ✅ グリーンキウイとゴールドキウイは交差する可能性が高いが、ゴールドの方が症状がかるい可能性がある。

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