以下、論文紹介と解説です。
Ashida A, et al. Clinical characteristics of obstructive uropathy associated with rotavirus gastroenteritis in Japan. Clinical nephrology 2012; 77:49-54.
日本腎臓学会会員と日本で本疾患の症例報告を発表したすべての著者にアンケート調査票を送付し、ロタウイルスによる尿路結石の症例を集積した。
目的
■ ロタウイルス胃腸炎は重症化し、脱水や腎前性高窒素血症を呈することが多い。
■ しかし我々は、急性ロタウイルス胃腸炎に伴う急性閉塞性尿路疾患の小児4例に遭遇しており、同様の症例が複数報告されている。
■ そこで本研究の目的は、日本人小児における急性ロタウイルス性胃腸炎を合併した急性閉塞性尿路疾患の疫学的・臨床的特徴を明らかにすることだった。
対象と方法
■ 日本腎臓学会会員と日本で本疾患の症例報告を発表したすべての著者にアンケート調査票を送付し、診断時の年齢、性別、結石の種類、検査データなどを問い合わせた。
結果
■ 評価可能な患者は21例で、0.4~3歳の範囲で報告された。
■ 性別は男児の有病率が高かった。
■ 乏尿は胃腸炎発症から約7日後に発症した。
■ ほとんどの患者に高尿酸血症と低ナトリウム血症がみられた。
■ 結石は主にアンモニウム酸尿酸塩から成った。
■ 退院時の腎機能は正常だった。
結論
■ ロタウイルス性胃腸炎に伴う閉塞性尿路疾患は非常にまれであるものの、十分な体液補充療法に抵抗性の無尿や、胃腸症状の回復にもかかわらず乏尿が持続する場合には、この病状を検討すべきである。
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ロタウイルス胃腸炎に伴う尿路結石は、まれながら知っておくべき病態と言えます。
■ ロタウイルスによる尿路結石は、まれな病態ではあるものの小児科医のなかでは常識ではあるといえます。
■ アンケート調査で網羅的でもありませんが、特徴を掴むのには有用かもしれません。
■ 今後は、ロタウイルスに対する予防接種が普及してきますので、減少することが期待されます。
今日のまとめ!
✅ ロタウイルス胃腸炎は稀ながら尿路結石を起こす。