以下、論文紹介と解説です。
Regan AK, et al. Seasonal Trivalent Influenza Vaccination During Pregnancy and the Incidence of Stillbirth: Population-Based Retrospective Cohort Study. Clinical Infectious Diseases 2016; 62:1221-7.
西オーストラリアで出生した児58008人において、妊娠中の母へのインフルエンザワクチン接種が死産率に影響しているかを確認した。
背景
■ 出生前のインフルエンザワクチン接種は、妊婦や新生児の重篤な感染を予防するための重要な公衆衛生上の介入であるにもかかわらず、ワクチン接種率は50%未満であることが多い。
■ 胎児への安全性への懸念は、ワクチン接種を躊躇したり拒否したりする理由としてよく挙げられる。
■ パンデミックワクチン接種後の死産の発生率に関する先行研究はあるが、季節性3価インフルエンザワクチン接種後の死産の発生率を評価した集団ベースの研究はない。
方法
■ 2012年4月から2013年12月までに生まれた児 58008人を対象に、周産期・母へのワクチン接種記録をリンクさせてコホートを構築した。
■ 死産は、妊娠20週以上で、分娩後1分および5分後のApgarスコアが0であった場合と定義した。
■ Cox回帰モデルを用いて、母親の喫煙、生来の状態、ワクチン接種の傾向により調整し、ワクチン接種を受けた母親と受けていない母親の調整ハザード比(adjusted hazard ratios; aHR)を算出した。
結果
■ 3価インフルエンザワクチンを接種した妊婦は計5076人(8.8%)で、377人の死産が発生した。
■ 妊娠10万人・日当たりの死産数は、ワクチン未接種者で5.0件、ワクチン接種者で3.0件だった。
■ 調整後、ワクチンを接種した母親のほうが未接種の母親よりも死産の可能性が51%減少した(aHR 0.49; 95%信頼区間[CI] 0.29-0.84)。
■ 死産の相対的な低下が最も大きかったのは、インフルエンザシーズン直後に発生した出産の場合だった(aHR 0.33; 95%信頼区間[CI] .12-.88)。
論文から引用。妊娠中のインフルエンザワクチンは、インフルエンザシーズン後の死産率の低下に、もっとも影響した。
結論
■ 妊娠中に季節性インフルエンザ予防接種を受けた母親は、予防接種を受けていない母親に比べて死産の可能性が有意に低かった。
■ これらの結果は、妊娠中の季節性インフルエンザ予防接種の安全性を支持し保護的な効果があることをを示唆している.
スポンサーリンク(記事は下に続きます)
妊娠中のインフルエンザワクチンは、より心配ごとを減らすためにも必要と言えるでしょう。
■ 妊婦さんに対するインフルエンザワクチンは、優先順位がたかいです。
■ とはいえ、妊娠中に医療機関で感染症に罹患することは避けたいところですし、優先して接種できる場所が必要だと思います。
今日のまとめ!
✅ 妊娠中のインフルエンザワクチン接種は、死産の減少にも関連するかもしれない。