母乳栄養は、とても重要。ただし、新生児早期にみられる高度の脱水症に関しては十分知られていないようです。
■ まず前提条件として、母乳栄養はとても重要な新生児の栄養法のひとつです。だからこそ、母乳栄養に対する支援はとても大事です。
■ 一方で、母乳栄養を無理するあまり、合併症が起こる可能性もあります。最近のJAMAの総論でも述べられているように、『Any intervention, no matter how well-intentioned, carries a risk of adverse events. どんな介入であっても、どんなに善意であっても、有害事象のリスクがあります (Jama 2016; 316:1685-7.)。』
■ 最近、SAPDE試験をご紹介しました。
■ すると、『入院時にミルクを勝手に与えられた』という意見を見かけました。
■ その『補足するミルク』に対しては一定の理由があります。新生児期に発生する高ナトリウム血症をともなう高度脱水への対処です。
■ 『高ナトリウム』という病態は、一般の方にはわかりにくいかもしれませんが、『かなり厳しい脱水』と考えていただければよいでしょう。
■ そして、その高度脱水は決して少なくない確率で起こりえます。ピッツバーグ小児病院で行われた検討をご紹介します。
この論文でわかったことを、ざっくりまとめると?
満期産・ほぼ満期産の新生児3718 人において、母乳栄養に関連した高ナトリウム血症性脱水がどれくらいの頻度で起こっているかを後ろ向き研究で確認したところ、
✅ 母乳栄養に関連した高ナトリウム血症性脱水の発生率は 1.9%であり、最も一般的な症状は黄疸(81%)であり、代謝性以外の合併症は無呼吸および/または徐脈が多かった。
✅ 中等度の高ナトリウム血症(中央値 153mEq/L; 範囲 150~177mEq/L)がみられ、体重減少率は平均13.7%だった。
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