以下、論文紹介と解説です。
Sato M, et al. Oral challenge tests for soybean allergies in Japan: A summary of 142 cases. Allergology International 2016; 65:68-73.
大豆アレルギーが疑われた142例(患者125名)に対し絹ごし豆腐100gによる負荷試験を行い、大豆特異的IgE抗体価の有用性を評価した。
背景
■ 大豆は日本における乳児期発症アレルギーの原因食品の一つである。
■ 本研究では、当院で約7年間にわたって実施された大豆食物負荷試験の結果を解析することを目的とした。
■ 検査データを用いて、大豆アレルギー患者の反応と臨床像を明らかにするとともに、反応と大豆に対する感作との関連を検討した。
方法
■ 2004年7月から2010年5月までに、142例(患者125名)が大豆アレルギーの診断もしくは耐性の確認のために食物負荷試験(絹ごし豆腐100g)を受けた。
論文より引用。
負荷試験の方法。
■ 患者の特徴、大豆感作の状態、食物負荷試験への反応を後方視的に評価した。
結果
■ 大豆負荷試験を受けた被験者の男女比は1.6(87人/55人)、テスト時の平均年齢は2.8±1.7歳だった。
■ 食物負荷試験の陽性率は38.7%だった。
■ 誘発症状は、皮膚症状 81.8%、呼吸器症状 50.9%、消化器/粘膜/アナフィラキシー症状 12.7%だった。
■ アナフィラキシー反応を起こした 7 例全員に対し、アドレナリンを筋肉内投与した。
論文より引用。負荷試験mの陽性・陰性・アナフィラキシーの有無。
■ 大豆特異的IgE抗体価の感度、特異度、陽性予測値、陰性予測値、診断効率は、負荷試験に対する反応を予測するには不十分だった。
結論
■ 大豆アレルギーと診断されたのは、大豆に対する感作陽性を示した被験者の18%のみだった。
■ したがって、大豆特異的IgE抗体価は、食物負荷試験陽性に対する予測因子として有効ではない。
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粗抗原としての有用性が低い場合は、コンポーネント検査の実用化が望まれる。
■ 大豆特異的IgE抗体価に関しては、負荷試験が陽性かどうかを予測するためには有用性がひくいことは普段から感じます。
■ このように、粗抗原では有用性がひくいと予想される特異的IgE抗体価は複数あり、コンポーネント検査が進歩することが期待されています。
今日のまとめ!
✅ 大豆特異的IgE抗体価は、負荷試験陽性を予測するには有用性が低い。