以下、論文紹介と解説です。

Kassab M, et al. Efficacy of Sucrose in Reducing Pain during Immunization among 10-to 18-Month-Old Infants and Young Children: A Randomized Controlled Trial. Journal of Pediatric Nursing 2020; 50:e55-e61.

予防接種を受ける健康な乳児と幼児(生後10~18ヶ月)に関し、50%スクロース(ショ糖)2mLもしくはプラセボ2mLを予防接種前に舌下投与し、痛みを評価した。

目的

■ 新生児の予防接種に伴う痛みを軽減するためにスクロース(ショ糖)が推奨されている。

■ しかし、乳児・幼児に対するスクロースの有効性に関する研究結果に関しては結論が出ていない。

■ 本研究では、生後10~18ヶ月の乳幼児の予防接種時の痛みを軽減するためのスクロース投与の有効性を、行動性疼痛パラメータ、啼泣時間、唾液サブスタンス(P)濃度で評価し検討することを目的とした。

 

研究デザインと方法

■ この試験は二重盲検ランダム化比較試験で、生後10~18ヶ月の予防接種を受ける健康な乳児と幼児を対象とした。

■ 行動性疼痛のアウトカムは、最後の注射間と直後に測定された。

■ 乳児の疼痛は、サブスタンス(P)を用いた唾液検査と啼泣のビデオ撮影によっても測定された。

 

結果

スクロース群はプラセボ群と比較して、予防接種後の疼痛が有意に少なかった(F(1,129)1.72; P=0.001)ことが示された

管理人注
介入群には50%スクロース溶液を2mLそしてプラセボ群には滅菌水を2mL、予防接種注射の直前に針のない注射器をもちいて30秒間かけて溶液を舌下に投与したそうです。

■ さらに、サブスタンス(P)は介入群の方が予防接種後の痛みが少なく、予防接種に伴う痛みが軽減していることに対する良い予測因子と考えられた。

 

結論

■ 予防接種注射時のスクロース投与は、予防接種スケジュールの遵守に影響を与える最も重要な要因の一つである疼痛の軽減に役立つ。

■ サブスタンス(P)測定は、生後10~18ヶ月齢の乳児と幼児における予防接種時の疼痛の予測因子として使用することができる。

 

診療上への意味

■ スクロースは、予防接種中の針の痛みを軽減するのに有効な方法である。

■ したがって、医療従事者は、予防接種の臨床現場において、痛みを軽減する介入としてスクロースを投与すべきである。

 

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ショ糖(甘味料)は、予防接種時の痛みを軽減するかもしれない。

■ ショ糖濃度50%とは、相当な甘さになるわけですが、30%と50%濃度で痛みの軽減に差がないのではないかという報告もあります(Journal of community health 2019; 44:322-31.)。

■ そして一般的なフルーツジュースは、主にショ糖、果糖(フルクトース)とグルコースが主成分で10~16%だそうです。

■ 予防接種前の『飴ちゃん』も有効…といったところでしょうか。

■ そしてショ糖でなくとも、甘味のはいっている飲み物を用意しておいてご褒美をあげる…でもいい感じかもしれません。

 

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今日のまとめ!

 ✅ 甘味料は、予防接種時の痛みを軽減するかもしれない。

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