以下、論文紹介と解説です。

Gad RF, et al. Oral Sucrose Versus Breastfeeding in Managing Infants' Immunization-Related Pain: A Randomized Controlled Trial. MCN: The American Journal of Maternal/Child Nursing 2019; 44:108-14.

予防接種時の乳児120人をランダムに対照群・ショ糖群・母乳群に割り付け、疼痛尺度、啼泣時間、心拍数を比較した。

背景

■ 予防接種中の痛みに対する治療は、世界中の小児科のプライマリ医療の一部であるべきである。

■ 子どもの未治療の痛みは短期的および長期的な影響があるからである。

■ 低・中所得国では、予防接種中の疼痛緩和のための薬理学的・非薬理学的方法に関する研究はほとんど行われていない。

■ 低コストで効果的で、すべての環境で実現可能な痛みを緩和する介入方法を見つけることは、リソースの少ない環境を含めて、一次医療を改善する可能性がある。

 

目的

■ 生後6ヶ月までの乳児の予防接種時の疼痛管理方法として、経口ショ糖と母乳の効果を評価する。

 

方法

■ ランダム化対照試験デザインを使用した。

■ 乳児120人をランダムに対照群、ショ糖群、母乳群に割り付けた。

■ データはエジプトの初期医療センターで収集された。

■ 疼痛(FLACC疼痛尺度)、啼泣時間、心拍数を含むアウトカム測定は、3つの時点で測定された。

 

結果

母乳群では、ショ糖群や対照群と比較して、予防接種中および予防接種後の疼痛スコアおよび啼泣持続時間に有意差があった(p<0.001)

 

診療への意味

■ 予防接種中の疼痛管理のために母乳投与を行うには、医療従事者と保護者への教育と支援が必要である。

■ 乳児の予防接種に関連した疼痛管理のための母乳と他の疼痛管理方法の有効性を評価するためには、より多くの研究が必要である。

 

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予防接種時に母乳を授乳させると、予防接種による痛みが軽減するようだが…実行は簡単ではないかもしれない。

■ おそらく、母乳栄養によるスキンシップなども疼痛の軽減に影響しているのだろうと予想されます。

■ とはいえ、母乳をあげているお母さんの前で、外来というセッティングによる予防接種というのはかなりハードルが高い印象があります。

■ 多くの病院で実践できるかどうかは、難しいところかなあと感じました。

 

今日のまとめ!

 ✅ 予防接種中の母乳は、事前のショ糖投与よりも予防接種による痛みが軽くなるようだ。

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