以下、論文紹介と解説です。
Vorilhon P, et al. Efficacy of vitamin C for the prevention and treatment of upper respiratory tract infection. A meta-analysis in children. European journal of clinical pharmacology 2019; 75:303-11.
生後3 ヵ月~18 歳の小児における上気道感染症の予防とビタミンCの関連を検討した ランダム化比較試験8件(3135 例)に対するメタアナリシスを実施した。
目的
■ 上気道感染症(Upper respiratory tract infection; URTI)は、一般的にウイルス呼吸器感染症によって引き起こされる小児の一般的な感染症である。
■ そして現在、URTIの予防薬としてビタミンCが提案されている。
■ 本研究の目的は、文献のシステマティックレビューにより小児におけるURTIの予防と持続期間の短縮のためのビタミンCの有効性を評価することだった。
方法
■ 2017年10月~2018年1月に主要な医学データベース(CENTRAL、Medline、Embase)で、灰色文献アプローチで行われた文献のレビュー。
■ 選択基準は、慢性感染症のない小児(生後3カ月~18歳)を対象に、ビタミンCをプラセボと比較した二重盲検ランダム化比較試験(randomized controlled trials; RCT)だった。
■ 有効性は、URTIの発生率、期間、症状の重症度の観点から評価された。
■ 可能な限りメタアナリシスを実施した。
結果
■ 生後3 ヵ月~18 歳の小児 3135 例を含む RCT8 件を選択した。
■ 定量解析の結果、ビタミンC投与とプラセボに差は認められなかった(オッズ比=0.75; 95%CI[0.54~1.03]; p=0.07; I2=74%)。
■ 一方で、ビタミンCはURTIの期間を1.6日減少させることが示された(標準化平均差 -0.30[-0.53~-0.08]; p=0.009; I2=70%)。
■ 6 歳未満の小児は、エキナセアに関連したより効果的なビタミン Cによる利益があった。
■ 重篤な有害事象は報告されなかった。
結論
■ 予防効果は認められなかったが、ビタミンCはURTIの期間を短縮した。
■ URTIの頻度、抗生物質の不適切な処方、ビタミンCの安全性を考慮すると、ビタミンCは正当なものであり、特に6歳未満でURTIの頻度が高い小児におけるビタミンCは正当なものである。
■ この年齢の小児を対象とした、より大きな統計学的な検出力のある試験を実施することには、十分な正当性があると考えられる。
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ビタミンCが風邪の期間を短縮するという可能性が示唆されたが、解釈には注意を要する。
■ エキナセアというのはムラサキバレンギクともいうハーブの一種であり、海外では風邪の民間療法としてよく使われます。
■ 最近のBMJの総論では効果は証明されていないとされていますが、この文脈でエキナセアがでてくるのはそういう意味です。
■ さて、このメタアナリシスではビタミンCが急性上気道炎(いわゆる風邪)の期間を短縮するという結果になりました。
■ しかし、2013年のコクランシステマティックレビュー(Cochrane Database Syst Rev 2013:Cd000980.)を実施した著者からは、このメタアナリシスの不備・問題点が指摘されています( European Journal of Clinical Pharmacology 2019; 75:1747-8.)。
■ この結果を鵜呑みにするのは、まだ早計かもしれません。
■ それよりも、やっぱり十分な睡眠のほうが重要といえるでしょう。とはいえ、過剰摂取しなければお守りくらいに思ってもいいかもしれませんね。
今日のまとめ!
✅ ビタミンCが、子どもの風邪の期間を短縮するというメタアナリシスの結果ではあったが、内容の不備も指摘されており解釈には注意を要するかもしれない。