以下、論文紹介と解説です。

Steiner MJ, et al. Is this child dehydrated? Jama 2004; 291:2746-54.

小児の脱水症を評価するための症状・徴候・基本的な臨床検査の精度と正確性を検討した研究13件のシステマティックレビューを実施した。

背景

■ 乳幼児の脱水の程度を迅速かつ正確に評価できるかどうかで、患者の治療や傾向が決まることが多い。

 

目的

■ 乳幼児や小児の脱水症を評価するための症状、徴候、基本的な臨床検査の精度と正確性をシステマティックレビューする。

 

データソース

■ PubMedを通じMEDLINEデータベースを検索し、1561件の論文を特定した。

■ 検索された論文、コクランライブラリ、教科書、その分野の専門家の個人所蔵を検索した結果、さらに42の論文が得られた。

 

研究選択

■ 1603件の研究のうち26件に、幼児(1ヶ月~5歳)の脱水症状診断に関する所見の精度に関するオリジナルのデータが含まれていた。

 

データ抽出

■ 3人の著者のうち2人が、診断検査の尤度比(likelihood ratio; LR)を推定するためのデータを独立してレビューし、要約した。

■ 26件のうち13件を除外したのは、研究デザインに一般的に認められている診断基準がないか、その他の制限があったためだった。

■ 残りの13研究がレビューに含まれた。

 

データ合成

■ 小児の5%の脱水症を予測するのに最も有用な徴候は、毛細血管再充満時間の異常(LR 4.1; 95%信頼区間[CI] 1.7-9.8)、皮膚ツルゴールの異常(LR 2.5;95%CI 1.5-4.2)、呼吸パターンの異常(LR 2.0;95%CI 1.5-2.7)だった。

■ 徴候の組み合わせは、脱水症の予測において、個々の徴候よりも有意に優れていた。

■ 病歴および臨床検査は脱水症の評価には中程度の有用性しかない。

 

結論

■ 幼児の脱水の初期評価では、毛細血管再充満時間、皮膚ツルゴール、呼吸パターンを推定し、他の徴候を組み合わせて使用することに焦点を当てるべきである。

■ 利用可能な検査の相対的な不正確さや間違いのため、臨床医が脱水の正確な程度を推定する能力が制限される。

 

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輸液を考える前に、『輸液が必要な子ども』を見分ける技術を磨く必要がある。

■ このテーマに関し、いくつか論文を当たってみたのですが、今回のJAMAの報告がよく知られている有名論文といえそうです。

■ 当科の電子カルテには、この結果を尤度費を含めて参照できるようにしてはいるのですが、それほど活用されている感じではないです。

■ 経験がふえてくると、『みた第一印象』が大きなポイントになってくるかもしれません。

■ でも、『最初のウチは』こういう、どこを重点的にみていくかはとても重要なことです。

 

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今日のまとめ!

 ✅ 子どもの脱水を評価するために、毛細血管再充満時間、皮膚のツルゴール、呼吸の以上を確認するのは重要である。

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