以下、論文紹介と解説です。
Gelotte CK, et al. A Multicenter, Randomized, Placebo-Controlled Study of Pseudoephedrine for the Temporary Relief of Nasal Congestion in Children With the Common Cold. J Clin Pharmacol. 2019 Dec;59(12):1573-1583. doi: 10.1002/jcph.1472. Epub 2019 Jul 5. PMID: 31274197; PMCID: PMC6851811.
風邪のための鼻閉のある6~11 歳568人に対し、プソイドエフェドリンの有効性を比較した。
■ 本試験は、6~11 歳の小児を対象に、風邪による鼻閉の一時的な緩和を目的としたプソイドエフェドリン塩酸塩 30mg 錠の有効性と安全性を評価するためにデザインされた多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験である。
論文から引用。研究フローチャート。
■ 有効性に関する主要評価項目は、1日目の初回投与後1時間から8時間までの鼻閉の重症度スコアの試験開始時からの変化の加重和とした。
論文から引用。鼻閉の評価のためのスコア。
■ 安全性評価には、有害事象、眠気の評価、バイタルサインが含まれた。
■ プソイドエフェドリンは、小児における1日目の投与後8時間の鼻閉の重症度軽減において、プラセボよりも優れていた(治療群間の最小二乗平均差 1.2;P = 0.029)。
論文から引用。1日目の鼻閉に対する有効性に有意差あり。
■ 全体的に、鼻閉に関連する副次的エンドポイントは1日目は支持的であったが、2日目の副次的エンドポイントは数値的に良好なだけだった。
■ プラセボと比較しプソイドエフェドリン投与群の児の傾眠の率が高く(71.9% vs 63.9%)、また、不眠(34.4% vs 38.9%)や神経過敏(20.0% vs 23.6%)は同程度だった。
■ 症状緩和のために必要に応じてプソイドエフェドリンを最大7日間まで複数回内服することは、感冒の小児において概ね安全だった。
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プソイドエフェドリンは、小児の鼻閉に短期的に有効。ただし、OTCが基本で注意点も多い。
■ プソイドエフェドリンはエフェドリンの異性体にあたります。やや使い方は異なります。
■ 一部のOTC薬には使用されていますが、保険適用薬としては風邪につかわれることは基本的にはないでしょう。
■ 個人的にも、プソイドエフェドリンを風邪薬としては使ったことがありません。
■ ただし、最近アレグラにプソイドエフェドリンが配合されたディレグラが12歳以降のアレルギー性鼻炎に使用できるようになっているので、知っておきたい知識ではあります。
■ 漢方薬の麻黄がエフェドリン効果があることが、鼻閉に有効な理由のひとつになるかもしれません。
■ 一方、エフェドリンやプソイドエフェドリンは『濫用等のおそれのある医薬品の成分・品目及び数量について』で品目としてあげられており、留意は必要と思われます。
今日のまとめ!
✅ プソイドエフェドリンは、小児のかぜに伴う鼻閉に対し、短期的には有効なようだ。