以下、論文紹介と解説です。
Fine AM, Nizet V, Mandl KD. Large-scale validation of the Centor and McIsaac scores to predict group A streptococcal pharyngitis. Arch Intern Med 2012; 172:847-52.
咽頭痛のある3歳以上の患者206,870人の、Centorスコアと溶連菌迅速検査の陽性率を比較した。
背景
■ CentorとMcIsaacのスコアは、咽頭痛のある患者におけるA群溶連菌(group A streptococcal; GAS)咽頭炎の検査と治療の指針となるものであるが、これらのスコアは比較的小さなサンプルから導き出されたものである。
■ そこで、さまざまな地域の大規模な集団を対象に、全国規模での予測モデルの検証を行った。
方法
■ 2006年9月1日から2008年12月1日までに米国の全国的なリテールヘルスチェーンに咽頭痛のある3歳以上の患者206,870人から収集したデータを分析した。
この研究では、『MinuteClinic』という、26州500施設以上を展開する全国規模のリテールヘルスチェーンで行われました。
■ 主なアウトカム指標は、Centor/McIsaacスコア(両スケールとも0~4)によるGAS咽頭炎検査陽性患者の割合だった。
いずれかの検査(迅速検査または確認検査)が陽性の場合、GAS陽性とされました。
結果
■ 15歳以上の患者では、23%(95%CI 22%-23%)がGAS陽性と判定され、Centorスコアが0の患者の7%(95%CI 7%-8%);Centorスコアが1の患者の12%(95%CI 11%-12%)、Centorスコアが2の患者の21%(95%CI 21~22%);Centorスコアが3の患者の38%(95%CI 38~39%);Centorスコアが4の患者の57%(95%CI 56~58%)が含まれていた。
■ 3歳以上の患者では、27%(95% CI 27%-27%)がGAS陽性と判定され、McIsaacスコアが0の患者の8%(95% CI 8%-9%);McIsaacスコアが1の患者の14%(95% CI 13%-14%)、McIsaacスコアが2の患者の23%(95%CI 23%-23%);McIsaacスコアが3の患者の37%(95%CI 37%-37%);McIsaacスコアが4の人の55%(95%CI 55%-56%)を含まれた。
論文から引用。Centorクライテリア・Mclsaacクライテリアの溶連菌迅速検査の陽性率。
■ 95%CIはリテールヘルスチェーンから得られた確率と先行研究で重複していた。
結論
■ 我々の研究では、CentorとMcIsaacのスコアを検証し、リテールヘルスチェーンに咽頭痛のある患者のGAS感染のリスクをより正確に分類した。
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Centorクライテリアはとても有名ですが、限界も知っておく必要があります。
■ Centorクライテリアの最初の研究は1981年であり実に40年ちかくが経過しているわけですが、まだ広く使用されていることを考えると驚異的です。
■ しかし一方で、その限界も考えなければならないとも言えます。
■ 小児科医は、ながく経験をつむと、Centorクライテリア以上に、『喉をみるとわかる』くらいになる感じがします。
■ EBVやアデノとも異なる、あの喉は…とはいっても、『アトラスさくま』がでてからは、その経験は比較的積みやすくなりましたけど。
今日のまとめ!
✅ 20万人規模のレトロスペクティブ研究で、咽頭痛のある3歳以上の患者では、McIsaacスコアが0の患者の8%;McIsaacスコアが1の患者の14%、McIsaacスコアが2の患者の23%;McIsaacスコアが3の患者の37%;McIsaacスコアが4の人の55%が溶連菌検査陽性だった。