以下、論文紹介と解説です。

Feaster B, et al. Patients use more topical medication when the medications come in a larger container. Dermatol Online J 2020; 26.

128人の参加者に対し、大きな容器(453g)のワセリンと小さなチューブ(34g)のワセリンを塗布してもらい、その塗布量を比較した。

イントロダクション

■ 研究によると、人はより大きな部分を提供されると、より多くのカロリーを消費する。

■ しかし、同様の行動が外用薬の使用にも当てはまるかどうかは不明である。

■ 容器の大きさや処方者の指示が、患者の外用薬使用に与える影響はまだ評価されていない。

 

方法

■ データは、IRBに許可されたランダム化比較試験に参加した128人から集められた。

■ 前腕の3cm×8cmの長方形の部位に、患者はワセリンを大きな容器または小さなチューブのいずれかから塗布した。

管理人注
大きな容器(453g)もしくは小さなチューブ(34g)のワセリンを前腕部に塗布し、「該当部分にワセリンを塗布する」または「該当部分を覆う程度にワセリンを薄く塗布する」のいずれかの指示をしたそうです。
そして、ワセリンを塗布後、もう一方のサイズの容器を渡され、もう片方の前腕部に同様の塗布指示をされて塗布しました。
容器と指示の順番はランダム化されています。

 

■ そして塗布前と塗布後の容器の重量が測定された。

 

結果

■ 小さいチューブに比べて大きい容器からの外用薬の塗布量のほうが多かった。

論文から引用。

 

管理人注
大きな容器(453g)を使用すると、小さなチューブ(34g)を使用した場合と比較して、ワセリンを55%多く塗布したとしています(それぞれ0.383g [16.0mg/cm2] vs 0.238g [9.9mg/cm2]; P<0.001)。

 

結論

■ 外用薬の使用は、提供される容器の大きさに影響される。

■ 外用薬を処方する際に容器の大きさを考慮することは有益であり、より多い塗布量が望まれる場合には、容器の大きさを考慮する必要がある。

 

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アドヒアランスを考慮して、大きな容器も考慮していいかもしれない。ただし、容器内の汚染も考慮する必要がある。

■ 大きい容器で処方した場合の問題点は、『手で汚染される可能性が上がる』かもしれないということです。

■ 英国における保湿剤に対するコンセンサス声明では、『微生物による汚染を回避するために、患者は手または指を保湿剤のポットにいれてはならない』という記載があるように、微生物(この場合黄色ブドウ球菌が多い)の汚染をさけたほうが良いと考えられているからです。

■ なかなかにもってアドヒアランスと治療効果のバランスは難しいものですが、『大きな容器』もひとつの手ともいえるかもしれません。

 

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今日のまとめ!

 ✅ 保湿剤のアドヒアランスを考えながら、大きな容器で処方することも考慮してもいいかもしれない。

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