以下、論文紹介と解説です。

Kawada S, et al. Association between sites and severity of eczema and the onset of cow's milk and egg allergy in children. PLoS One 2020; 15:e0240980.

アレルギー疾患のある2~19歳の参加者289人のうち、IgE依存性乳アレルギー81人と卵アレルギー111人に関する、発症リスクを検討した。

背景

牛乳アレルギー(Cow's milk allergy; CMA)卵アレルギー(egg allergy; EA)は一般的にみられ、小児の生活の質を低下させる可能性がある。

■ 乳児湿疹は、経皮感作を介した食物アレルギー発症の危険因子として確立されているが、様々なタイプの乳児湿疹についての評価は十分ではない。

■ そこで本研究では、CMAとEAとの関連性、乳児湿疹の部位や重症度を検討した。

 

 

方法

■ 本研究は、2015年7月から2019年3月までに国内の小児アレルギー科クリニックで治療を受けた2~19歳のアレルギー疾患患者のデータをもとに、レトロスペクティブに検討したものである。

■ IgE依存性の症状の既往歴、生後1歳での湿疹、親のアトピー歴、乳児期の栄養に関するデータを収集した。

 

結果

■ 289人が本研究に含まれ、そのうち81人と111人にそれぞれIgE依存性CMAとEAが認められた。

管理人注
感作はImmunoCAP®で行い、乳アレルギーは牛乳特異的IgE抗体0.35 IU/ml以上で、牛乳またはその製品を摂取した後に即時のアレルギー症状の既往歴を伴うものと定義され、卵アレルギーは、卵白特異的IgE抗体陽性で卵製品摂取後の即時アレルギー症状と定義されました。
牛乳または卵に対する非IgE介在性症状は含まなかった。

CMAやEAの発症率は、乳児湿疹のある小児では、ない小児よりも高かった(30% vs 9%、42% vs 21%)。

論文から引用。

■ CMAの率は、顔面に湿疹のある小児で高かった。

■ 多変量解析を用いると、滲出物(修正オッズ比2.398;P=0.017)や丘疹(修正オッズ比 2.787;P=0.008)の顔面湿疹のある児におけるCMAの発症率には有意差が認められた

論文から引用。

 

結論

■ 乳児期に重度の顔面湿疹のあるアトピー性疾患児では、IgE介在性CMAの発症率が高かった。

 

スポンサーリンク(記事は下に続きます)



 

『顔のじくじくした湿疹』が、感作のリスクになることは普段の診療からも感じることでもあり、早めの改善を目指したいところです。

■ レトロスペクティブ研究ですが、顔の湿疹が悪化すると、さらに重篤度があがる印象はたしかにあり、そのことを示した結果といえそうです。

■ 卵では差がなかったとされていますが、特異的IgE抗体価0.35以上で陽性としているので、卵は陽性率が両方ともたかくなったのじゃないかなあと感じました。

■ やはり湿疹ははやめの改善をおすすめしたいところですね。

 

created by Rinker
¥1,287 (2024/04/24 05:24:04時点 Amazon調べ-詳細)

今日のまとめ!

 ✅ 乳児期に顔のじくじくした湿疹があると、ない乳児よりも2倍以上、乳アレルギーの発症リスクが高かった。

このブログは、私の普段の勉強の備忘録やメモであり、基本的に医療者向けです。

知識の共有を目的に発表しておりますが、追加して述べる管理人の意見はあくまでも個人としての私見です。所属するいかなる団体の立場も代表するものではありませんし、すべての方に向いているという情報でもありません。予めご了承いただきたく存じます。

このブログの『リンク』は構いません。しかし、文章やアイデアを盗用・剽窃・不適切な引用したり、許可なくメディア(動画を含む)に寄稿することはご遠慮ください。クローズドな場での勉強会などに使用していただくことは構いません。
Instagram:2ヶ月で10000フォロワーを超えました!!!

Xでフォローしよう