以下、論文紹介と解説です。
Samady W, et al. Food-induced anaphylaxis in infants and children. Ann Allergy Asthma Immunol 2018; 121:360-5.
小児病院救急部に食物によるアナフィラキシーのため受診した計357例を、年齢ごとに評価した。
背景
■ ピーナッツアレルギー予防のために乳児にピーナッツ製品を導入することが最近推奨されており、乳児のアナフィラキシーをフォーカスして評価する必要がある。
目的
■ 本研究では、12ヶ月未満の乳児における食物によるアナフィラキシー(food-induced anaphylaxis; FIA)の症状を、より高い年齢の小児コホートと比較して説明する。
方法
■ 2015年6月から2017年6月までに、都市部の大規模小児病院救急部(emergency department; ED)でFIAを示した小児のレトロスペクティブレビューを実施した。
結果
■ 計357例のFIAが評価され、乳児(12ヵ月未満)47例、幼児(12-24ヵ月)43例、年少児(2-6歳)96例、学童(6歳以上)171例だった。
■ 乳児は他の年齢群よりも消化管(gastrointestinal; GI)症状を呈する頻度が高かった(89% vs 63% [P = 0.003] & 60% [P < 0.001] & 58% [P < 0.001])。
■ さらに、乳児や年少児は、学童よりも皮膚病変を呈する頻度が高かった(94% & 91% vs 62%[P < 0.001])。
■ 呼吸器症状はより高い年齢群でより多く見られた(乳児 17%、年少児 44%[P < 0.001]、学齢児 54%[P < 0.001])。
■ 卵と牛乳は学童と比較し、乳児におけるFIA発症率が高かった(卵、38% vs 1%[P < 0.001]、牛乳 17% vs 7%[P = 0.03])。
■ FIAを発症した乳児のうち湿疹が21%にあり、36%に食物アレルギーの既往歴があった。
結論
■ FIAを発症した乳児は主にGI症状・皮膚症状を呈した。
■ 乳児では卵が最も一般的な食物のトリガーだった。
■ FIAを発症した乳児のほとんどは、湿疹や食物アレルギーの既往歴はなかった。
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年少児のほうが皮膚症状や消化器症状がおおく、年齢が高くなると呼吸器症状が多くなる。
■ 呼吸器症状はリスクが高い症状と言えますし、乳児期のほうが(アナフィラキシーを起こさないという意味では全くないですが)リスクは低いのかもしれません。
■ 今回の研究では、湿疹はかならずしもアナフィラキシーのリスクにはなっていませんが、『先行している湿疹』が、リスクに大きく関与するという報告は多くあります。
■ 湿疹は、その後の食物アレルギーのリスクにはなるものの、その逆はかならずしも真ではないということですね。
今日のまとめ!
✅ 乳児期でもアナフィラキシーはある。しかし、より高年齢の児よりは呼吸器症状は少ない。