以下、論文紹介と解説です。
Dang TD, et al. Egg allergen specific IgE diversity predicts resolution of egg allergy in the population cohort HealthNuts. Allergy 2019; 74:318-26.
卵アレルギーが証明・卵に感作・耐性のある、年齢をマッチさせた生後12ヶ月の乳児 451人を、2年後、4年後の縦断調査により、血清卵白、Gal d 1、Gal d 2、Gal d 3、Gal d 5特異的IgE抗体が寛解を予測するかを調査した。
背景
■ IgE依存性卵アレルギーは、小児における最も一般的な食物アレルギーの一つである。
■ 血清卵白特異的IgE抗体価(specific IgE; sIgE)の測定や皮膚プリックテストでは、生卵やbaked egg、調理された卵に対する臨床的アレルギーの予測因子としては不十分であることが示されている。
■ 最近のコンポーネントによる診断(component resolved diagnostic; CRD)技術の発展により、個々のペプチドに対するIgE特異性を調べることで、ピーナッツアレルギーの診断および予測方法を改善することが可能となった。
目的
■ 卵におけるCRDが様々な卵アレルギーのフェノタイプを診断するための現在の処方を改善し、卵に体する耐性を予測できるかどうかを調査することを目的とした。
方法
■ 食物負荷試験で卵アレルギーが証明された・卵に感作・耐性のある年齢マッチした生後12ヶ月の乳児 451人のHealthNutsコホート(2年後と4年後に縦断的に追跡調査)を用いて、ImmunoCAPを用い血清卵白、Gal d 1、Gal d 2、Gal d 3、Gal d 5の sIgEを測定した。
結果
■ Gal d 1の感作は持続性卵アレルギーのリスクを 2.5 倍に増加させた。
■ 4種類の卵アレルゲンすべて(Gal d 1、Gal d 2、Gal d 3、Gal d 5)に対するsIgE抗体価陽性は、持続性卵アレルギーのリスクを4倍に増加させた(OR 4.19; 95%CI 1.25~14.07)。
■ 現在の卵アレルギーがあることを診断するには、卵白sIgEと比較し、Gal d 1、Gal d 2、Gal d 3、Gal d 5を使用の利点は見出されなかった。
結論
■ 複数の卵アレルゲンGal d 1、Gal d 2、Gal d 3、Gal d 5に対する感作は、患者のマネージメントや持続性卵アレルギーを発症するリスクのある個人を特定するのに有用な予後マーカーであるかもしれない。
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卵アレルギーの予後に関しては、いくつもの報告がある。予測をしながら適切に治療介入することが望まれる。
■ 卵アレルギーはとても多い疾患であるものの、一般には『自然に治るから』と除去でながく経過をみておられる場合もあります。
■ 一方で、持続した卵アレルギーは、リスクを冒して免疫療法をおこなっても中断するとおおくは食べられなくなることが示されています。
■ 予後を予測しつつ、適切に治療介入できればと思っています。
■ なお、『卵白』はオボアルブミン(Gad d2)と相関するのではと考えられていますが、臨床的にコンポーネント検査ができるのは、オボムコイド(Gad d1)のみです。
今日のまとめ!
✅ 卵アレルギーは、Gad d1(オボムコイド)に感作されていたり、複数の蛋白質に感作されていると寛解しにくいようだ。