以下、論文紹介と解説です。

Perkin MR, et al. Factors influencing adherence in a trial of early introduction of allergenic food. Journal of Allergy and Clinical Immunology 2019; 144:1595-605.

生後3ヶ月から6ヶ月までに離乳食を早期開始する群のアドヒアランスに影響を与える要因を、登録時・登録後の要因に分けて検討した。

背景

■ Enquiring About Tolerance(EAT)スタディでは、母乳栄養で育てられた乳児に、生後3ヶ月から6種類のアレルゲン食物を早期導入することで、食物アレルギーの発症を予防できるかどうかが検討された。

■ per-protocol分析において、介入は1種類以上の食物アレルギーと、卵とピーナッツに対してはそれぞれ有効であったが、早期導入群(early introduction group; EIG)のうち42%しかper-protocol基準を満たさなかった。

 

目的

■ EATスタディにおけるアドヒアランス不良の要因を明らかにすることを目的とした。

 

方法

■ EIGにおける重要な早期導入期間(生後6ヶ月まで)のアドヒアランスに影響を与える要因を、登録時の要因と登録後の要因に分け、アドヒアランス不良との関連性を検討した。

論文から引用。乳、卵、魚、ごま、ピーナッツ、小麦の導入時期。

 

結果

■ 調整後解析では、登録時に、母親の年齢が高い、非白人、母親の生活の質が低いという点が、EIGにおけるアドヒアランス不良と有意に関連していた

登録時の湿疹や1種類以上の食物に対する登録時の血清アレルゲン特異的IgE感作(0.1 kU/L以上)は、アドヒアランス不良と関連していなかった

■ 登録後は、2つの要因がEIGにおけるアドヒアランス不良に有意に関連していた。

■ すなわち、生後6ヶ月までに乳児のアレルゲン食物摂取による親が報告したIgE依存性の症状と、生後4ヶ月までに報告された摂食困難の2点だった。

グラフィカルアブストラクト。

 

結論

■ アレルゲン性の食物の早期導入を食物アレルギーの予防策とするならば、非白人、高齢の母親、摂食障害や早期の湿疹が報告されている乳児を持つ家族は、早期かつ持続的な摂取を促進するための支援が有益と考えられる。

 

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離乳食の早期導入は、たしかに食物アレルギーの予防策として有用かもしれない。ただしスモールステップを鑑み、『無理せずゆっくりすすめていくこと』も意識したほうがよいと思われる。

■ 離乳食早期導入がうまく進んでいると、『睡眠に関するトラブル』も減るという報告があります。

■ 色んな考え方があるかもしれませんが、うまく開始できればできるほど、さらにメリットも増えるといえるかもしれません。

 

■ とはいっても『食べてくれない』という場合も多いでしょう。

■ そして、お母さんの生活の質が低い(日常の生活が大変)という場合に開始できにくいということも理解できます。

■ 食べさせる親御さんが日常が大変であればとくに、『食べさせないといけない』と思えば思うほど辛くなってしまう可能性もあります。

 

■ そこで、スモールステップをどう踏むかが重要になってきます。

■ 小さな、とても小さな一歩を考えていく必要があります。たとえば、最初はなめる程度でよいというような。

 

■ 一方で、離乳食の導入時期を遅らせれば遅らせるほど、離乳完了までの期間が短縮され、1日1日のステップは大きくなるともいえます。

■ 『スモール』ステップが踏みにくくなってくるともいえます。

■ 『食べてくれない』に対しては答えはない問題ではあるかもしれません。

■ しかし、早期に開始するお話ができるときほど、『最初はゆーっくりでいいですよ。なれるくらいからでいきましょう』という言葉かけは必要ではないかと考えています。

 

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今日のまとめ!

 ✅ 離乳食早期導入には障害もあることを考えながら、ゆっくりすすめていくことを意識したほうが良いと思われる。

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