保湿剤によるアトピー性皮膚炎の発症予防に関し、どのように考えていけばいいのか?
■ 新生児期からのアトピー性皮膚炎の発症予防に関し、過去いくつかの試験が行われ、予防的な効果があるのではないかと考えられています。
■ 一方でこのテーマに関し、2020年になって大規模ランダム化比較試験としてBEEP試験やPreventADALL試験が発表され、逆の結果が報告され議論を呼び起こしました。
■ 検討することはさまざまあるかと思いますが、現状で私は、保湿剤によるアトピー性皮膚炎の発症予防には条件があると思っています。
呼ばれました?
— ほむほむ@アレルギー専門医 (@ped_allergy) February 23, 2021
この結果は、BEEP試験やPreventADALL試験の結果から、予想されることではありました。
指摘される点としては、
1)エモリエントかモイスチャライザーか?
2)保湿剤の回数・アドヒアランス
3)保湿剤が有効な群はバリア機能が低い群
といったところでしょう。https://t.co/ZDvPsDo85n
■ そして最近、Allergy誌(欧州アレルギー・臨床免疫学会雑誌)に、同じような考えの総説が掲載されていましたので、全文を翻訳して共有します。
この論文でわかったことを、ざっくりまとめると?
BEEP試験やPreventADALL試験の概観と、失敗した理由に関して考察し、いくつかの要素が挙げられた。
✅ BEEP試験・PreventADALL試験ともに、重要な要素である「炎症」を考慮していない。
✅ ワセリン系エモリエントは十分な効果がないかもしれない(セラミド系保湿剤のほうが有効かもしれない)。
✅ 保湿剤の塗布の回数として、バリア機能に影響を与えるためには1日に数回、週に5日以上塗布する必要があるかもしれない。
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