以下、論文紹介と解説です。

Leung J, et al. Increased rates of peanut and tree nut aspiration as a possible consequence of allergy prevention by early introduction. J Allergy Clin Immunol Pract. 2021 Apr 13:S2213-2198(21)00438-4. doi: 10.1016/j.jaip.2021.03.052. Epub ahead of print. PMID: 33862267.

LEAP試験前後で、気道異物を診断された小児200人を対象に後ろ向きコホート研究を実施した。

背景

■ 小児の気道異物(foreign bodies; FB)は外科的な緊急事態であり、ピーナッツや木の実(peanuts and tree nuts; PN/TN)は幼児に重大な誤嚥のリスクをもたらす可能性がある。

■ 2015年、Learning Early About Peanut allergy(LEAP)試験により、ハイリスクの乳児にピーナッツを早期導入することで、ピーナッツアレルギーの発症リスクが低下することが証明された。

■ その後、すべての乳児に対してアレルゲン食品の導入を積極的に勧めるよう、乳児栄養ガイドラインが修正された。

■ しかし、離乳食へのアドバイスの変更が、PN/TNの吸入の発生率に与える影響については、これまで調査されていない。

 

目的

■ 2008~2018年に小児病院に来院したPN/TN吸入症例の発生率を明らかにすること。

 

研究方法

■ 硬性気管支鏡検査で気道FBと診断された小児を対象としたレトロスペクティブコホート研究。

 

結果

■ FB吸入例は200例(PN/TN35%; その他の食品34%; 無機物31%)だった。

■ 調査期間中、FB吸入の総発生率は上昇していた(IRR1.09; p<0.001)

■ この上昇は、PN/TN(IRR 1.16; p<0.002)とその他の食品の吸入(IRR 1.12; p=0.01)によるもので、無機物のFB吸引(IRR 1; p=0.94)には有意な上昇は見られなかった

■ LEAP前(2008~2014年)とLEAP後(2015~2018年)の期間では、PN/TN、その他の食品、無機物のFBの吸入率がそれぞれ3倍、2倍、増加なしということが明らかとなった。

 

結論

■ LEAPの公表以降、当院ではPN/TNやその他の固形食品の吸入が増加していることがわかった。

■ この研究は、幼児に固形食品の安全な導入を促進するために、一般市民も一緒に共有していくことが急務であることを強調している。

 

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離乳食早期導入に関しては、『どのように導入するのかの具体的な指導』も必要と思われます。

■ LEAP試験をうけた離乳食ガイドラインの改定後、ナッツ類やピーナッツの吸引事故が有意にふえたという報告です。

■ すなわち、親御さんにピーナッツの導入をお話する場合は、『スムースタイプのピーナッツバター』といった具体的な説明が必要ということだといえるでしょう。

 

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今日のまとめ!

 ✅ 離乳食早期導入に関し、気道への吸引に配慮していく必要がある。

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