以下、論文紹介と解説です。

Frugier C, et al. Potential Efficacy of High-Dose Inhaled Salbutamol for the Treatment of Abdominal Pain During Oral Food Challenge. J Allergy Clin Immunol Pract 2021.PMID: 33831623

ピーナッツに対する二重盲検プラセボ対照食物チャレンジをすべて再検討し、腹痛を呈し基準を満たした57人に関し、サルブタモールの有効性を確認した。

背景

■ 腹痛は、IgE依存性食物アレルギーによく見られる症状であり、治療の選択肢は限られている。

■ 内臓の平滑筋細胞の弛緩は、βアドレナリンによる刺激によって誘導される。

 

目的

■ 単施設において,IgE依存性食物アレルギー反応による腹痛の緩和に経験的に使用された吸入サルブタモールの有効性を評価する。

 

方法

■ 2016~2021年に単施設で実施したピーナッツに対する二重盲検プラセボ対照食物チャレンジをすべて再検討し、反応の一部として腹痛を呈した患者を特定した。

■ 主要アウトカムは、治療開始から腹痛の改善までの時間とした。

■ 治療の一環として吸入サルブタモールの投与を受けた患者と受けていない患者で比較した。

■ 潜在的な交絡因子をコントロールするためにCox回帰を行った。

 

結果

■ 試験期間中、二重盲検プラセボ対照食物負荷試験186件が実施され、そのうち126件がピーナッツアレルギーだった。

■ このうち77人は腹痛のために治療を受け、57人が本試験の対象基準を満たしていた。

サルブタモールを投与された患者は、投与されなかった患者(中央値 65分)に比べ、有意に早く改善した(中央値 12.5分)(χ2 = 45; P < 0.0001)

■ Cox回帰では、サルブタモールの投与と嘔吐により、改善率がそれぞれ11.35(95%CI 5.40~23.9; P < 0.0005)および4.00倍(95%CI 1.90~8.42; P < 0.0005)のハザード比で増加することがわかった。

 

結論

■ この後ろ向き研究は、IgE依存性の腹痛の治療におけるサルブタモールの使用についての仮説を生み出すエビデンスを提供する。

■ 二重盲検無作為化対照試験でのさらなる調査が望まれる。

 

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興味深い視点だと思われる。

■ これが正しいならば、食物誤食時なども内服や吸入による気管支拡張薬などで腹痛に対応できるのだろうか…と考えてしまいました。

■ ただ、『高用量』の量が本文が読めずにわからなかったので、後日、全文が読めるようになったらもうすこし確認しようと思います。

 

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今日のまとめ!

 ✅ 食物負荷試験時の腹痛に関し、サルブタモール吸入により腹痛の時間を短縮できるかもしれない。

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