以下、論文紹介と解説です。
Chiricozzi A, et al. Dupilumab improves clinical manifestations, symptoms, and quality of life in adult patients with chronic nodular prurigo. Journal of the American Academy of Dermatology 2020; 83:39-45.
慢性結節性痒疹のある成人患者27人に対するデュピルマブの16週間の投与による治療効果を評価した。
背景
■ 慢性結節性痒疹(Chronic nodular prurigo; CNPG)は、痒みを伴う丘疹や結節を特徴とする多因子性の皮膚疾患であり、通常、標準的な治療に抵抗性であり、生活の質が著しく低下する。
目的
■ 外用療法や全身療法に抵抗性である成人CNPG患者に対しデュピルマブの有効性と忍容性を検討する。
方法
■ 少なくとも16週間、デュピルマブによる治療を受けたCNPGの成人患者を対象としたレトロスペクティブ多施設共同研究。
結果
■ CNPG患者27人が、皮膚病変、瘙痒、不眠、QOLの面で臨床的改善を示した。
■ 少なくとも16週間の継続投与を27人中24人(88.9%)が実施でき、Investigator Global Assessmentスコア1を達成したが一定の割合で存在した(11/24; 45.8%)。
■ Investigator Global Assessmentスコアが2段階以上低下した患者数は増加した(19/24; 79.2%)。
■ 瘙痒と不眠の数値評価スケールは、16週間の治療後に、それぞれ8.9から2.7、8.2から1.7に減少した(P < 0.001)。
■ 10人が,臨床効果を維持したまま36週間の治療を達成した。
制限事項
■ 主な限界は、最初のデータ収集時に有効な評価ツールがなかったこと、治療を受けた患者集団が限られていたこと、観察期間が短かったことなどである。
結論
デュピルマブは、瘙痒の軽減とCNPGの皮膚病変の改善に有効であることが証明された。
スポンサーリンク(記事は下に続きます)
デュピルマブは痒疹結節に有効。
■ 原文では、16週をこえて36週までの治療により、さらに改善していました。
■ この報告はデュピルマブ(デュピクセント)ですが、抗IL-31抗体であるネモリズマブに関しても、最近日本からランダム化比較試験がNEJMに発表されています(New England Journal of Medicine 2020; 382:706-16.)。
■ 生物学的製剤は高価でもあり日本での小児の保険適用はありませんが、今後、このような難治性の病態には適用が望まれるところです。
今日のまとめ!
✅ デュピルマブは、成人の痒疹結節にも有効なようだ。