以下、論文紹介と解説です。
Hostetler TL, et al. The ability of adults and children to visually identify peanuts and tree nuts. Ann Allergy Asthma Immunol 2012; 108:25-9.
小児と成人1105人に対し、ピーナッツと9種のナッツの計19種類のことなる形状で並べたナッツディスプレイを設置し、識別可能かを調査した。
背景
■ ピーナッツおよびナッツは一般的な食物アレルゲンであり、食物によるアナフィラキシーの主要な死亡原因となっている。
■ これらのアレルギーの主な治療法は食事除去であり、ピーナッツやナッツを識別する能力が必要である。
目的
■ 成人や小児のピーナッツやナッツを視覚的に識別する能力を調査する。
方法
■ ピーナッツと9種のナッツ、計19種類のことなる形状で並べたナッツディスプレイを設置した。
■ 6歳以上の被験者は、ワークシートを使ってアイテムの名前を記入した。
結果
■ 1105人が調査を完了した。
■ 被験者が認識したピーナッツとナッツの数の平均は,19種類のうち8.4種類(44.2%)だった。
■ 6~18歳の児においての平均は4.6種類(24.2%)であり、18歳以上の成人は11.1種類(58.4%)だった(P < 0.001)。
■ 最も多く識別されたのは、殻付きのピーナッツと殻なしのピーナッツだった。
■ 最も識別種類が少なかったのは、ヘーゼルナッツ(ハシバミ)の殻付きと殻なしだった。
■ ピーナッツまたはナッツアレルギーのある被験者の成績は、アレルギーのない被験者と比較し差がなかった.
■ ピーナッツやナッツアレルギーのある被験者の50%が、自分がアレルギーを持つすべての形態のピーナッツやナッツを正しく認識した。
■ ピーナッツやナッツアレルギーを持つ児の親は、アレルギーを持たない児の親よりも成績が悪かった。
結論
■ 全体として、子どもも成人も、ほとんどのナッツを視覚的に識別することができない。
■ 食物除去によるナッツアレルギーの対応には、大人と子どもの両方に対して、ピーナッツとナッツを識別するための教育が必要である。
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ナッツ類を視覚的に鑑別することは、簡単ではない。
■ たしかに、ナッツ類を視覚的に識別するのは思った以上にむずかしいなと感じました。
■ 前半のこたえは、下記のようになります。いかがでしょうか?
Brough HA, Caubet JC, Mazon A, Haddad D, Bergmann MM, Wassenberg J, et al. Defining challenge-proven coexistent nut and sesame seed allergy: A prospective multicenter European study. J Allergy Clin Immunol 2020; 145:1231-9.から引用。
■ ナッツを鑑別するためのパネルがほしいところですね。
今日のまとめ!
✅ ナッツ類の識別は容易ではなく、誤食の原因になるかもしれない。
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