以下、論文紹介と解説です。

Ravn NH, et al. Bidirectional association between atopic dermatitis, conjunctivitis, and other ocular surface diseases: A systematic review and meta-analysis. J Am Acad Dermatol 2021; 85:453-61.

アトピー性皮膚炎と、結膜炎やその他の眼の表層疾患との関連性を検討した報告に関するシステマティックレビュー・メタアナリシスを実施した。

背景

■ 結膜炎をはじめとする眼の表層疾患(ocular surface diseases; OSDs)は、アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)やその治療との関連が指摘されている。

 

目的

■ アトピー性皮膚炎と結膜炎やその他のOSDとの関連性を調査する。

 

方法

■ システマティックレビュー・メタアナリシスを実施した。

■ 2名の著者が、EMBASE、PubMed、SCOPUS、Web of Scienceを個別に検索し、タイトル/要約、全文レビュー、データ抽出を行った。

■ プールされたランダム効果の有病率とオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を推定した。

 

結果

■ 検索の結果、重複しない論文5719件が得られ、134件が定量的な分析に含まれた。

ADは対照と比較し、結膜炎が多く(OR 2.78; 95%CI 2.33-3.32); AD患者と対照の結膜炎の有病率は、それぞれ31.7%(95%CI、27.7-35.9)、13.3%(95%CI、11.0-15.7)だった

■ また、円錐角膜(OR 3.71; 95% CI, 1.99-6.94)および眼部単純ヘルペス(OR 3.65; 95% CI 2.04-6.51)もADと関連していた

 

研究の限界

■ 疾患の定義は様々であり、自己申告に頼ることが多かった。

■ ADのフェノタイプや結膜炎以外のOSDに関するデータを検討した研究はほとんどなかった。

 

結論

■ 結膜炎は、ADにおける最も一般的な眼の合併症である。

■ 結膜炎やその他のOSDの兆候や症状は報告されていない可能性があるため、AD患者を治療する医師は積極的に質問し、検査することが重要である。

 

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眼の周囲に対する治療は、より丁寧にするように配慮する必要性がある。

■ 炎症、機械的ストレス、バリア破壊、微生物による作用が、病因、増悪、眼合併症の発症に関連しているとされています。

■ アトピー性皮膚炎に関連した炎症だけでなく、物理的な刺激への対応も考える必要があるということです。

■ もちろん、ステロイド外用薬も一つの選択肢なのですが、いまだに、目の周囲に長期間ステロイド外用薬を使用し酒さ様皮膚炎がおこってから受診される方がいらっしゃいます。

 

■ そしてこの報告は、表層的な問題を検討した報告ですがもちろん、緑内障のリスクなどにも配慮しなければなりません。

■ タクリリムス軟膏やデルゴシチニブ軟膏などが2歳以降の小児にも使用できるようになり、治療がうまくできるようになってきています。

 

■ より適切な治療選択肢を提示しながら考えていきたいものです。

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今日のまとめ!

 ✅ アトピー性皮膚炎は、結膜炎、円錐角膜、眼の単純ヘルペスなどのリスクを上げる。

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