以下、論文紹介と解説です。

Dicpinigaitis PV, et al. Prevalence of Arnold Nerve Reflex in Adults and Children With Chronic Cough. Chest 2018; 153:675-9.

成人200名、小児100名の慢性咳嗽患者と、成人100名、小児100名のボランティアを対象に、綿棒を用いて両耳の外耳道を刺激し咳が誘発されるアーノルド反射の評価を行った。

背景

■ 咳は、迷走神経が支配する気道や食道などの構造物を刺激することで生じる。

■ アーノルド反射とは、迷走神経の耳介枝が支配する外耳道を刺激することで咳を誘発することを言う。

■ これまでアーノルド反射の有病率は、耳鼻咽喉科の外来患者を対象とした調査では2~3%と報告されてきたが、健康ボランティアや慢性咳嗽のある患者を対象とした調査は行われていなかった。

 

方法

■ 成人200名、小児100名の慢性咳嗽患者と、成人100名、小児100名のボランティアを対象に、綿棒を用いて両耳の外耳道を刺激する評価を行った。

■ 刺激後10秒以内に発生した咳は、介入によって誘発されたものとみなした。

 

結果

■ アーノルド神経反射は、慢性咳嗽のある成人の25.5%、小児の3%にみられた。

健康成人や小児では、アーノルド反射の有病率は2%だった

■ 成人の慢性咳嗽では,アーノルド神経反射は男性(12.5%)よりも女性(31.6%)に多く観察され、大多数(90.2%)の患者では片側性だった。

 

結論

■ 慢性咳嗽の成人におけるアーノルド反射の有病率が健常者と比較して12倍以上であることから、慢性難治性咳嗽の背景に迷走神経の過敏性があると考えられる咳嗽過敏性症候群(cough hypersensitivity syndrome; CHS)の概念が支持される。

■ また、小児の慢性咳嗽者では有病率の増加が認められないことから、咳嗽過敏症候群は、ウイルス性呼吸器感染やその他の環境要因によって引き起こされる後天的な疾患であると考えられる。

 

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アーノルド反射は成人の2%・小児の3%にみられ、成人では慢性咳嗽患者に多く見られる。

■ アーノルド反射は成人の2%・小児の3%にみられ、成人では慢性咳嗽患者に多くみられるものの小児では慢性咳嗽があってもその頻度はあがらないという結果でした。

■ 正常でもみられますし治療法はとくにないのかもしれませんが、最近、慢性咳嗽の治療が有用『かもしれない』という報告があります(CHEST 2020; 158:264-71.)。

 

今日のまとめ!

 ✅ アーノルド反射は成人の2%・小児の3%にみられ、成人では慢性咳嗽患者に多く見られる。

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