以下、論文紹介と解説です。

Paul LA, et al. Association of Age and Pediatric Household Transmission of SARS-CoV-2 Infection. JAMA Pediatrics 2021.

カナダのオンタリオ州で行われた人口ベースのコホート研究で、家庭内で小児が感染の起点になった例を検討した。

重要性

■ COVID-19パンデミックの初期には小児の症例が少なかったため、SARS-CoV-2の小児の家庭内感染についてはまだ研究が進んでいない。

 

目的

■ 幼い子どもが家庭内感染する確率が、年長の子どもと比較して異なるかどうかを明らかにする。

 

研究デザイン、セッティング、参加者

■ 本研究は、2020年6月1日から12月31日に、カナダのオンタリオ州で行われた人口ベースのコホート研究である。

■ SARS-CoV-2感染が確認された指標症例が18歳未満であった家庭を対象とした。

■ 組み合わせ情報がない共同住宅に住んでいる場合、複数の個人ケースがある場合、指標例の年齢が不明な場合は、対象外とした。

■ 被験児の指標例の年齢層を0~3歳、4~8歳、9~13歳、14~17歳に分類した。

 

主な結果と測定

■ 家庭内感染は、小児の指標例から1~14日後に少なくとも1人の二次症例が発生した家庭と定義した。

 

結果

6280世帯で小児の指標症例が発生し、1717世帯(27.3%)で二次感染が発生していた。

■ 指標児の平均(SD)年齢は10.7(5.1)歳であり、2863例(45.6%)が女児だった。

SARS-CoV-2を家庭内接触者に感染させる確率は、0~3歳児が14~17歳の子供に比べて最も高かった(オッズ比1.43; 95%CI 1.17~1.75)

■ この関連性は、二次症例を指標症例の2~14日後または4~14日後と定義し、症状の有無、学校・保育園での発生との関連、学校・保育園の再開の有無で層別化した感度分析でも同様に観察された。

■ また、4~8歳および9~13歳の児では、感染のオッズが上昇していた(4~8歳:オッズ比1.40; 95%CI 1.18~1.67、9~13歳:オッズ比1.13; 95%CI 0.97~1.32)。

 

結論と関連性

■ 本研究では、年少児は年長児と比較してSARS-CoV-2感染症を伝播しやすい可能性が示唆され、0~3歳児で最も高い伝播オッズが観察された。

■ 小児の年齢層における感染力の違いは、家庭内での二次感染のリスクを最小限に抑えるために、学校や保育園だけでなく家庭内での感染予防にも影響する。

■ 年少児の指標例による感染のリスクを確立するためには、さらに集団ベースの研究が必要である。

 

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夏休み後の学校再開をどのように考えるか、むずかしい問題が控えている。

■ すくなくとも、8月中に学校の再開は控えるような決定がなされたという報道も聞かれ始めています。

小中学校「8月中は臨時休校」 神奈川・相模原市が決定へ

■ 現実的に、夏休みの終了後に学校を再開するかどうかは難しい問題です。

■ 子どもたちにとって、集団生活は、その発達を即す意義もあるからです。

■ 現状でどうするべきか、わたしにも結論は出せませんが、小児で接種できないワクチン接種を成人ですすめることは急務であることは間違いないでしょう。

 

今日のまとめ!

 ✅ 小児からの感染リスクは0~3歳からが多いかもしれない。

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