以下、論文紹介と解説です。
Manjunath J, Silverberg JI. Association between atopic dermatitis and headaches throughout childhood and adolescence-A longitudinal birth cohort study. Pediatr Dermatol. 2021 Apr 30. doi: 10.1111/pde.14607. Epub ahead of print. PMID: 33931896.
都市部の児4898人を対象とした出生コホート研究において、アトピー性皮膚炎と頭痛の関連を検討した。
背景・目的
■ アトピー性皮膚炎(Atopic dermatitisAD)は、睡眠障害、心理社会的苦痛、不安、抑うつ、アレルギー併存疾患と関連しており、これらは頭痛の増加と関連している可能性がある。
■ そこで、小児期および青年期に、ADや併存する喘息、睡眠、精神的健康障害と頭痛との関連を理解することを目的に検討した。
方法
■ 1998年から2000年に生まれた都市部の児4898人を対象とした縦断的出生コホート研究「The Fragile Families and Child Wellbeing Study」のデータを分析した。
結果
■ ADは、5歳(調整オッズ比[95%信頼区間]:2.14 [1.27-3.59])、9歳(1.69 [1.27-2.27])、15歳(1.71 [1.37-2.14])で頭痛と関連していた。
■ 9歳時のADは、15歳時の頭痛のオッズが高いことと関連していた(1.36 [1.05-1.76])。
■ 2回の調査でADを発症した子ども(1.60 [1.12-2.29])、または3回の調査すべてでADを発症した子ども(1.79 [1.16-2.75])は、15歳時点で頭痛を発症する確率が高かった。
■ 多変量反復ロジスティック回帰モデルでは、ADと睡眠障害(4.59 [3.15-6.69])、注意欠陥(多動性)障害(2.85 [1.87-4.35])、喘息(2.87 [2.18-3.76])、不安(2.47 [1.76-3.48])、うつ病(2.86 [1.89-4.34])に、頭痛の予測因子として有意な双方向の相互作用が認められた。
結論
■ 小児や青年期のADは、特に睡眠障害、アトピー、精神疾患を併発しており、頭痛が増加していた。
■ 小児期の持続的なADは、思春期の頭痛と関連していた。
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アトピー性皮膚炎は、頭痛と関連している可能性がある。
■ 頭痛は、重症のアトピー性皮膚炎の合併症である可能性があるとされています。
■ 機序は十分わかっていませんが、緊張型頭痛や眼精疲労を訴えるアトピー性皮膚炎のある児において、Th2サイトカインであるIL-13が増加していることを示した研究があるそうです。
■ もちろん、アトピー性皮膚炎をよくすれば頭痛が良くなる…といえるかはまだ明らかではありませんが、重篤なアトピー性皮膚炎は丁寧な治療をおこなう必要があるといえるでしょう。
今日のまとめ!
✅ アトピー性皮膚炎は、頭痛と関連があるかもしれない。
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