以下、論文紹介と解説です。

Abe M, et al. Clinical effect of delgocitinib 0.5% ointment on atopic dermatitis eczema intensity and skin barrier function. Journal of Cutaneous Immunology and Allergy; n/a.

軽症・中等症アトピー性皮膚炎の成人患者23人に対する、デルゴシチニブ軟膏の皮膚バリア機能に対する効果を検討した。

目的

■ デルゴシチニブは,低分子のJAK阻害剤であり,最近,アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)の治療薬として世界初の外用JAK/STAT経路阻害剤として日本で承認された。

■ 本研究では、デルゴシチニブ0.5%軟膏の投与が,皮疹の重症度および皮膚バリア機能に及ぼす影響を検討した。

 

方法

■ 軽症・中等症ADの成人日本人患者 23人を試験に組み入れた。

■ 健常者10人も並行して調査した。

■ デルゴシチニブ0.5%軟膏の4週間投与が、partial eczema area and severity index(pEASI)スコア、角質水分量(stratum corneum hydration; SCH)経皮水分蒸散量(trans-epidermal water-loss; TEWL)に及ぼす影響を検討した。

■ また、患者が報告した治療効果をアンケート評価した。

 

結果

4週間の治療により、AD患者のpEASIスコアは試験開始時と比較して61.8%±54.0 (mean%± SD)と、統計的に有意な改善がみられた(p < 0.001)

論文から引用。

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論文から引用。

画像

 

■ 投与4週目のSCHは、試験開始時(SCH 24.9AU±8.8(平均±SD))と比較して、AD患者で改善(37.6AU±11.5(平均±SD); p < 0.001)が認められた。

TEWLの経時的な低下傾向は、デルゴシチニブ治療群で認められた(TEWL 試験開始時 9.1g/h/m2、2週間後 7.1g/h/m2、4週間後 6.9g/h/m2)

論文から引用。デルゴシチニブ0.5%軟膏が、対照群およびAD患者の皮膚バリア機能に及ぼす影響。
(A)SCHに対する影響(B)TEWLに対する影響。

画像

 

■ pEASIスコア、SCH、TEWLは、治療2週目から4週目にかけて改善した。

■ 患者は、4週間の治療後に、皮膚状態に関連するすべてのパラメータについて、改善を実感したと報告した。

■ 安全性に関する懸念は認められなかった。

 

結論

■ 成人AD患者を対象としたデルゴシチニブ0.5%軟膏の治療は、忍容性が高く、アトピー性皮膚炎とSCHの両方に改善が認められた。

 

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コレクチム軟膏の効果は、これからさらに研究が進むでしょう。

■ 全体的な例数がすくなく、比較対照群の2-4週間後の結果もないので、この結果がデルゴシチニブ軟膏のみでもたらされたかどうかは明らかではありませんが、ステロイド外用薬が潜在的に皮膚の菲薄化を来す可能性があることから、デルゴチシニブ軟膏の効果は、今後も検討していく必要性があるでしょう。

■ 特に、デルゴシチニブ軟膏は、皮膚の菲薄化を改善させる可能性も指摘されており、個人的にはTEWLをさらに改善させるのではないかと期待していました。

■ この報告では(効果が示唆される結果ではあるものの)もうひといきといったところです。

■ 今後、PDE4阻害薬も控えていますし、使い分けも考えていく必要性があります。

 

今日のまとめ!

 ✅ コレクチム軟膏は、角質水分量や皮膚バリア機能を回復させるかもしれない。

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