以下、論文紹介と解説です。
Gračner T, et al. Changes in Weight-Related Outcomes Among Adolescents Following Consumer Price Increases of Taxed Sugar-Sweetened Beverages. JAMA Pediatrics 2021.
2014年に加糖飲料に10%の課税をさてれたメキシコで、2011年から2016年までの都市ごとの加糖飲料価格と過体重や10歳から18歳の子どもの肥満度の変化を比較した。
重要性
■ 2014年にメキシコで加糖飲料(sugar-sweetened beverages; SSB)に対する課税が導入された後、SSBの価格は平均で約10%上昇したが、都市によって差があった。
■ しかし、SSBの価格変化が、思春期の体重に関連するアウトカムとどのように関連しているかは、明らかになっていない。
目的
■ メキシコでSSB税が導入される前後で、SSBの価格変化が異なる都市に住む青年の体重関連アウトカムを比較する。
研究デザイン、セッティング、参加者
■ メキシコの39都市に住む1999年から2002年に生まれた10歳から18歳の青年12654名を対象に、SSBの価格変動と体重関連アウトカムの変化との関連を全体および性別で検討した。
■ Instituto Mexicano del Seguro Social(IMSS; メキシコ社会保障庁)が収集した2012年から2017年までの縦断的な臨床データ(身長と体重)に、固定効果を用いた多変量回帰を適用し、国立統計地理情報院(National Institute of Statistics and Geography; INEGI)が収集した2011年から2016年までの都市ごとのSSB価格データと統合した。
■ 2018年7月から2021年7月までのデータを分析した。
曝露
■ 2011年から2016年までのSSB価格の都市ごとの年間の変化。
主なアウトカムと測定法
■ 年齢や性別の体格指数(BMI;体重(キログラム)を身長(メートル2乗)で割って算出)のパーセンタイルと、BMIが85パーセンタイル以上の場合の過体重または肥満の指標。
結果
■ 2014年以前、本研究に参加した12 654人の青年(女児6850人、男児5804人)の46%が肥満または過体重だった。
■ 平均年齢(SD)は11.38(1.08)歳だった。
■ 女児では、SSBの価格が10%上昇すると価格変更後2年以内に過体重または肥満の有病率が絶対値で1.3%ポイント減少(95%CI; -2.19~-0.36;P=0.008)または相対値で3%減少した。
■ 課税前のBMIが75パーセンタイル以上の女児では、この価格上昇はBMIパーセンタイルの0.59の低下(95%CI; -1.08から-0.10; P=0.02)または0.67%の相対的低下と関連していた.
■ 女児の場合は、課税後の価格上昇が10%以上の都市で改善が見られた。
■ 男児ではそのような関連は見られなかった。
結論と関連性
■ 本研究では、SSBの価格上昇は、女児の過体重もしくは肥満の有病率の減少と関連したが、男児では関連しなかった。
■ 結果の改善はわずかで、過体重の女児と、税後の価格上昇が10%以上の都市で多く観察された。
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加糖飲料の価格があがることで、全体的な健康指標が改善する可能性があるということでしょう。
■ 加糖飲料に課税をするべきというわけではありませんが、消費量を減らすことで肥満度を改善するということですね。
■ そして、たとえばタバコへの課税と同じように加糖飲料に課税することで消費量が低下することで健康指標を改善するに影響するということともいえます。
今日のまとめ!
✅ 加糖飲料に課税し消費量がへると、思春期の児(特に女児)の体重が減るかもしれない。
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