以下、論文紹介と解説です。

Olson SM, et al. Effectiveness of BNT162b2 Vaccine against Critical Covid-19 in Adolescents. New England Journal of Medicine 2022.

テストネガティブ症例対照研究を用いて、米国 23 州の 31病院における12〜18歳の思春期の新型コロナ症例の重症化リスクを評価した。

背景

■ 米国では、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2severe acute respiratory syndrome coronavirus 2; SARS-CoV-2)B.1.617.2(delta)変異体によるcoronavirus disease 2019(Covid-19)に関連した小児の入院が増加していることから、12~18歳の青年を対象にBNT162b2メッセンジャーRNAワクチン(mRNA)の実際の有効性を評価する機会が提供された。

 

方法

■ テストネガティブ症例対照研究を用いて、入院、集中治療室(ICU)への入室、生命維持のための介入(人工呼吸、昇圧剤、膜型人工肺体外循環[ECMO])、死亡の原因となったCovid-19に対するワクチンの有効性を評価した。

■ 2021 年 7 月 1 日から 10 月 25 日に、米国 23 州の 31病院で、 Covid-19 が確認された適格な症例の入院記録をスクリーニングした。

■ Covid-19 のような症状があるが SARS-CoV-2 の検査結果が陰性の患者(検査陰性)と Covid-19 のような症状がない患者(症候陰性)の 2病院の対照群と比較し、症例患者に先立って接種された完全なワクチン接種(BNT162b2ワクチン の 2 回接種)のオッズを比較することで、ワクチンの有効性を推定した。

 

結果

■ 計445人の症例と777人の対照が登録された。

■ 全体として、症例患者17人(4%)と対照者282人(36%)が完全なワクチン接種を受けていた。

症例患者のうち、180人(40%)がICUに入院し、127人(29%)が生命維持を必要とし、ICUに入院した患者のうち、完全にワクチンを接種していたのは2名のみだった。

■ Covid-19による入院に対するBNT162b2ワクチンの全体的な有効性は94%(95%信頼区間[CI]90~96%)であり、試験陰性の対照群では95%(95%CI 91~97%)、症候陰性の対照群では94%(95%CI 89~96%)だった

■ 有効性は、ICU への入室に対して 98%、生命維持装置が必要となった Covid-19 に対して 98%だった。

死亡例7人は、すべてワクチン接種を受けていない患者だった

 

結論

■ 思春期患者において、BNT162b2 ワクチンを 2 回接種することは、Covid-19 による入院や ICU への入室、生命維持装置の装着に対して高い有効性を示した。

■ (Centers for Disease Control and Preventionから資金提供を受けている)

様々な考え方はあると思われるが、12歳からの接種に関する有効性はあると考えられる。

■ 繰り返しになりますが、小児に対する新型コロナワクチンは、成人に比較するとメリットは下がります。

■ しかし、『接種したほうがよいか』という質問があるならば、『接種したほうが良い』となることは確かと言えるでしょう。

 

■ 一方で、接種の優先度は成人の方が優先であることもまた、再確認するべき事柄です。

■ 今回のデータは、デルタ株に対する結果であり、今後はオミクロン株に対して明らかになってくることが望まれます。

 

今日のまとめ!

 ✅ 新型コロナワクチンは、12歳から18歳に対し、死亡も含めた重症化リスクを有意に低下させる。

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