以下、論文紹介と解説です。

Farraia M, Paciência I, Castro Mendes F, Cavaleiro Rufo J, Shamji M, Agache I, et al. Allergen immunotherapy for asthma prevention: A systematic review and meta-analysis of randomized and non-randomized controlled studies. Allergy; n/a.

アレルゲン免疫療法の喘息発症予防効果を評価したランダム化比較試験・非ランダム化介入研究18件のメタアナリシスを実施した。

背景

■ アレルゲン免疫療法(Allergen immunotherapy; AIT)は、IgE抗体を介する疾患に対する疾患修飾療法である。

■ ランダム化比較試験(Randomized controlled trials; RCT)は喘息予防におけるAITの潜在的役割を支持しているが、非ランダム化介入研究(non-randomized studies of interventions; NRSI)や縦断的観察研究からのエビデンスは十分に扱われていない。

■ そこで、喘息発症におけるAITの予防的役割を定量的に評価するために、すべての研究手法からの臨床データを評価するシステマティクレビューとメタアナリシスを実施することを目的とした。

 

方法

■ 3つのデータベースを検索した。

■ 研究はスクリーニングされ、選択され、バイアスリスク(risk-of-bias; ROB)ツールを用いて品質が評価された。

■ データは記述的にまとめられ、ランダム効果を使ってメタアナリシスされた。

■ 感度分析、影響度分析、サブグループ分析を行った。出版バイアスと異質性を評価した。

 

結果

■ 同定された4549研究のうち、24件(RCT12件、NRSI12件)が定性的統合に含まれ、18件がメタアナリシスされた。

研究フローチャート。

詳細は画像に続くキャプションにあります

■ 1件はROBが低く、7件はROBが中程度、15件はROBが高いことが証明された。

■ ランダム効果分析では、AIT後の喘息発症リスクが25%有意に減少した(RR 95%CI 0.75; 0.64-0.88)

論文から引用。

ありは画像にキャプであります

■ この効果は感度分析では有意ではなかった。

■ 出版バイアスは、研究間の中程度の異質性(I2 = 58%)と共に、懸念をもたらした。

■ サブグループ解析では、AITによる有意な予防効果が、小児(RR 0.71; 95% CI 0.53-0.96)、3年間の治療終了時(RR 0.64; 95% CI 0.47-0.88)、単感作(RR 0.49; 95% CI 0.39-0.61 )で示された

 

結論

■ この結果は、AITの喘息発症予防効果の可能性を支持し、アレルゲンの種類とは無関係に、小児、単感作、少なくとも3年間投与した場合に効果が高まることを示唆するものだった。

 

免疫療法は、喘息の発症を減らす可能性があり、小児・長期間の免疫療法など要素が、効果が高い群となるかもしれない。

■ アレルゲン免疫療法は、喘息の発症予防効果に働く可能性が示されています。

■ すでに2017年、ランダム化比較試験(RCT)によりシステマティックレビューが報告されており(Kristiansen M, Dhami S, Netuveli G, et al. Allergen immunotherapy for the prevention of allergy: a systematic review and meta-analysis. Pediatr Allergy Immunol. 2017; 28(1): 18- 29.)、6つのRCTからアレルギー性鼻炎患者が喘息を発症する短期的なリスクが有意に低下する(RR: 0.40; 95% CI: 0.29-0.54 )ことが示されています。

■ その結果の追試ともいえましょう。

■ ただ、それでも質の高い研究の数が少ないことがLimitationといえ、バイアスリスクが低いと考えられたのは1件のみだったという問題点が指摘されています。

■ そして、喘息の発症をプライマリエンドポイントとした研究も少なく、さらに研究を要するとしています。しかし、小児に対しプラセボを長期間使用することに対する倫理的問題も考慮せねばならないとも述べられています。

■ 個人的には、すくなくともSLIT(舌下免疫療法)はできるときに早めに開始したほうがメリットが大きいと考えています。

■ この論文でも、最も恩恵を受ける患者を選択する方法が十分に解明できていないため、慎重に考えなければならないものの、AITのコンプライアンスを高めるための理由となるかもしれないとされてういました。

 

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