以下、論文紹介と解説です。

Park CW, Kim BJ, Lee YW, Won C, Park CO, Chung BY, et al. Asivatrep, a TRPV1 antagonist, for the topical treatment of atopic dermatitis: Phase 3, randomized, vehicle-controlled study (CAPTAIN-AD). Journal of Allergy and Clinical Immunology 2022; 149:1340-7.e4.

12歳以上の軽症から中等症のアトピー性皮膚炎患者240人を、TRPV1阻害薬 asivatrep外用薬群とプラセボ群にランダム化し8週間塗布した効果と有害事象を比較した。

背景

■ asivatrepは、アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)の掻と炎症に重要な役割を果たすtransient receptor potential vanilloid subfamily V member 1(TRPV1)の強力かつ選択的な拮抗薬である。

 

目的

■ 本研究は、AD患者におけるasivatrepクリームの有効性と安全性を評価することを目的とした。

 

方法

■ 本試験では、12歳以上の軽症から中等症のAD患者を登録し、asivatrep1.0%群または基剤群に2:1でランダム化し、1日2回、8週間塗布した(n = 240)。

■ 主要評価項目は、8週目にInvestigator’s Global Assessment score(IGA)が0または1になった患者の割合とした。

■ また、標準的な安全性評価も実施された。

論文から引用。試験デザイン。

 

結果

■ 8週目において、asivatrep群(36.0%)は基剤群(12.8%)よりもIGAスコアが0または1になった患者が有意に多く(P < .001)、IGAスコアが試験開始時から2ポイント以上改善した患者が有意に多かった(20.3% vs 7.7%; P = .01)。

論文から引用。IGAの改善率。

■ 8週目のEASI(Eczema Area and Severity Index)スコアの平均減少率は、asivatrep群44.3%、基剤群21.4%(P < .001)だった。

■ asivatrep投与群では、EASIスコアが50%以上、75%以上、90%以上改善した患者が、基剤投与群に比べ有意に多かった。

論文から引用。EASIの改善率。

■ 8週目の掻痒のVisual analog scale scoreの変化(平均±SD)は、asivatrep群-2.3±2.4、基剤群-1.5±2.4(P = .02)だった。

論文から引用。

■ 安全性に関する重大な問題は報告されなかった。

 

結論

■ asivatrepはADの臨床症状を改善し、忍容性も良好だった。

 

新しいアトピー性皮膚炎の薬剤の開発が進んでいる。

■ 今回の報告は第3フェーズ試験の結果です。

■ 有害事象は、asivatrep投与群(14.7%)が基剤投与群(6.3%)よりも高かったものの、有害事象の程度は概して軽微だったとされています。

■ やや効果までの期間が長めかなという印象ですが、かゆみを減らすという意味では良い選択肢になる可能性がありますね。

 

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