以下、論文紹介と解説です。
Andersson AM, Sølberg J, Koch A, Skov L, Jakasa I, Kezic S, et al. Assessment of biomarkers in pediatric atopic dermatitis by tape strips and skin biopsies. Allergy 2022; 77:1499-509.
2歳から14歳のAD患児25人の、テープストリッピングと生検検体を比較し、フィラグリン遺伝子型、疾患の重症度を検討した。
背景
■ アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)のサイトカインプロファイルは、年齢、民族性、疾患の重症度によって異なる。
■ 本研究では、テープストリッピングや皮膚生検で採取した小児ADのバイオマーカーを調べ、フィラグリン遺伝子型、疾患の重症度、食物アレルギーで異なるかどうかを検討した。
方法
■ 2歳から14歳のAD患児25人を検査した。
■ 病変部皮膚から皮膚生検を、病変部や非病変部皮膚からテープストリップを採取した。
■ 天然保湿因子(natural moisturizing factor; NMF)と17種の免疫マーカーを、皮膚生検ではmRNA量,テープストリップでは蛋白レベルで解析した。
■ 全児童に共通するフィラグリン遺伝子変異を検討した。
結果
■ 病変皮膚におけるサイトカインプロファイルは、皮膚生検ではヘルパーT(Th)2反応、テープストリップではTARCとCTACKとともに自然炎症マーカー(インターロイキン(IL)-1α、IL-1β、IL-8、IL-18)の増加が優位だった。
論文より引用。テープストリッピングしたアトピー性皮膚炎の病変部および非病変部の皮膚におけるバイオマーカー。
LS:病変部位の皮膚;NL:非病変部位の皮膚
■ TARC、CTACK、IL-8、IL-18は、病変部や非病変部のテープストリップ皮膚でAD重症度と有意な相関を示したが、皮膚生検データでは有意な相関は観察されなかった。
論文より引用。
FLG遺伝子型により層別化し、バイオマーカーとアトピー性皮膚炎の重症度の相関。
■ 病変部や非病変部のテープストリッピングした皮膚において、NMFや選択されたサイトカインは、FLG変異や食物アレルギーの有無によって有意に異なっていた。
結論
■ 非侵襲的なテープストリップによる角層のサンプリングは、疾患の重症度、食物アレルギー、FLG遺伝子変異に関連するバイオマーカーの同定に利用できる。
■ 皮膚生検は強固なTh2の徴候を示したが、重症度に関する関連解析には劣っていた。
テープストリッピングが、アトピー性皮膚炎の病態を反映することを示した研究。
■ テープストリッピングが生検と同様、もしくはより有効な検査系になれば、病態解明に有効と思われます。
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